「教室のみんな」と一緒に、
手と頭を動かしてみよう

私自身、これまで幾度となく子どもたちの感性に触れる機会がありました。

それは、美術教師として多くの子どもたちと関わってきたからだけではありません。
大学院時代から続けてきた幼児の造形活動をめぐる質的研究やワークショップ、子どもの視点を考察する雑誌のコラム執筆、さらには子どもたちの発想に光をあてた工作番組「ノージーのレッツ!ひらめき工房」(NHK Eテレ)の企画監修など、さまざまなかたちで「子どもの表現」に向き合い続けてきたからです。

しかし、そのどれよりも子どもの感性を深く実感させられたのが「子育て」です。
傍目には取るに足らないような行為や表現の裏側で、子どもはなにを感じているのか。親だからこそ間近で見て、触れて、子どもと一体化するような感覚でそれを想像する楽しさを知りました。

とはいえ、ここで誤解しないでください。
本書は「子どもの感性を育てたい」と願う保護者や先生方向けに書かれた本ではありません。繰り返しになりますが、子どもの「感性の扉」はすでに開いているのです。
本書が目指すのは、子どもの視点に出会うことで、大人たちがもう一度、自分自身の感性を取り戻すことにこそあります。

ただ、各クラスの終わりには、「教育者の立場」で子どもの作品を捉え直した、「コラム(See different.)」もご用意しておきました。
ふだんから子どもに関わっている方は、子どもの作品への向き合い方の具体例としてご活用いただけるとうれしいですし、そうでない方にとっても、このクラスで考えてきたことを、さまざまな場面に応用させるためのヒントとしてお読みいただけるはずです。

また各所には、手を動かして取り組める「やってみよう」のコーナーや、考えを深めるための「問いかけ」をちりばめています。
ぜひ、手元に紙と筆記用具を用意して実際にワークに挑戦したり、自分なりの答えを考えてみたりしてください。あたかも本物の教室で授業を受けているような体験をしていただけるはずです。

これらを通じて、あなたの「感性の扉」が大きく開かれていくことを願っています。

それでは、いよいよ本格的な授業をはじめていきましょう。
ようこそ、感性の教室へ――。