「地頭」を鍛えたいと思っても、今さら変えられないものと思われがちだ。だが、多くの社員を育成してきた東証プライム上場社長の木下勝寿氏は新刊『地頭スイッチ』で、「地頭はセンスではない。スイッチの押し方さえわかれば変えられる。AI時代になればなるほど『地頭』が重要になる」という。「若くして出世する人としない人」。一体何が違うのか? ライター小川晶子氏が報告する。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

若くして幹部になる人に共通している特徴・ベスト1Photo: Adobe Stock

管理職はツライよ

同年代の友人たちと飲みに行くと、「管理職のツラさ」の話をよく聞く。

管理職になる前に会社員を離脱した私は、「具体的にどんな仕事をするの?」と興味津々で聞いている。

「目標設定をして、指示をして、相談に乗って、代わりに謝って……」
部下に対してとても気を遣っているが、思いもよらないトラブルが起きたりして大変だという。

話を聞いていると、際限なく仕事が広がっていて捉えどころがないようにも感じる。

管理職の仕事とは?

仕事術に関する数多くのベストセラーを出している木下勝寿氏の新刊『地頭スイッチ』の中で、管理職の仕事が明快に書かれていた。

「管理職」の具体的な仕事とは何でしょう。
それは、上位目的が見えていない人が「部分最適、全体不最適」な行動を取らないようにすること。そのために上位目的に沿ったルールや測定可能なKPI(重要業績評価指標)を設計し、「仕事の管理」をするのが管理職の仕事です。
――『地頭スイッチ』より

ヒラ社員の多くは目の前の仕事に集中しており、「上位目的」が見えていないかもしれない。自分がそうだったから、よくわかる。
たとえば「セールのDMを5000通出す」という仕事は、売上を上げるためだ。
当たり前にも思えるが、いつのまにか「いかに効率よく5000通のDMを出すか」に捉われていたりするのだ。

管理職は、そんなメンバーたちの仕事をチェックしながら上位目的に照らして「それはちょっと待て」「こっちに舵を切れ」と伝えなくてはならない。

ルールやKPIの設定によって、メンバーが上位目的に沿った行動をとれるようになるなら、それも大切だ。

ということは、管理職はメンバーより「高い視座」を持っている必要がある。

「出世できる人」の特徴

本書には、「出世できる人」の特徴もズバリ示されている。

改めて、「出世」とは何でしょうか。
多くの一般社員は、多段階層の目的の一番下に合わせて働いています。
その中で、少しずつ目的の基準を上に合わせて段階を1つずつ上がっていき、ようやく経営者と同じ目線で話ができるようになる人が出世します。
――『地頭スイッチ』より

早いうちから経営者と同じ階層の目的を見ているような人は、若くして幹部になったりする。上司に気に入られるよう取り入るのではなく、上司目線、経営者目線で仕事を見ていることが大事なのだ。

逆に言えば、目的の階層を上げることができない人は、いつまでも出世できないのである。

会社を離れてしまった私には、「出世」の階段を登るチャンスはもうない。しかし、目的の階層を上げることは意識していきたいと思う。