「地頭」を鍛えたいと思っても、今さら変えられないものと思われがちだ。だが、多くの社員を育成してきた東証プライム上場社長の木下勝寿氏は新刊『地頭スイッチ』で、「地頭はセンスではない。スイッチの押し方さえわかれば変えられる。AI時代になればなるほど『地頭』が重要になる」という。「〆切を守れる人と守れない人」で何が違うのか? ライター小川晶子氏がレポートする。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・寺田庸二)
Photo: Adobe Stock
〆切を守るのは簡単じゃない?
以前、「〆切を守る」をウリの一つにしているライターさんがいた。
「それは当たり前だからウリにならないのでは?」と思ったが、意外とそうでもないらしい。
「あの人は〆切を守らないが、いい原稿を書くから……」
「どうせ〆切を守らないので、本当の〆切より1週間早い日にちを伝えている」
編集サイドからはそんな話を聞き、一方のライターからは、
「どうせ本当の〆切はもっと後だから、2~3日遅れても問題ない」
という話を聞いたこともある。
私自身はそんな「本当の〆切」の探り合いができるメンタルを持ち合わせていないため、当たり前に〆切を守る。
……が、いつもギリギリ、ハラハラドキドキのスケジュールになってしまう。
仕事のスピードが上がれば……
〆切を守るコツは何だろう?
ひとつは、「この仕事にはこのくらい時間がかかる」という見積もりをしっかりすることだ。
これにはある程度経験が必要だが、経験があるのをいいことに「このくらいだろう」とテキトーに見積もると痛い目を見る。
正しく見積もるため、その仕事の全容を見極める時間が必要だ。
本格的な着手は1週間後でも、事前に「準備時間」をとって全体を眺めておく。
そして、もうひとつ。
多くの人が考えがちなのは、「仕事のスピードアップ」ではないだろうか。
私もこれまで何度「自分の仕事の遅さ」を呪ってきたことだろう。「もっと速く書ければいいのに!」と考えてしまう。
一気に納期が早くなるすごい考え方
そんなとき、ベストセラー著者の木下勝寿氏による『地頭スイッチ』の中に「一気に納期が早くなるすごい考え方」という項目があり、注目してしまった。
たとえば上司から「最近、君の仕事は納期に間に合っていないね。改善策を考えて」と言われたらどうするか。
知頭(知識をため、記憶する頭の使い方のこと。正解のない問いに対して自分の頭で思考できる『地頭』と対になっている)は、この瞬間に「仕事を速くしなければ」と思いつつも、具体的な改善策がわからないので「頑張ります」と言うだけになってしまうという。
では、地頭スイッチが入っている人はどう考えるか。
本書では、誰でも地頭がいい状態になるための思考法を「モゲジョの法則」として示している。モゲジョは「目的・現状・条件」の頭文字だ。
「納期に間に合っていないから改善策を考えて」という上司の言葉に対し、地頭モードで考えてみよう。
目的は「仕事を速くすること」ではなく、「納期に間に合わせること」。
この目的が定まったら、次は「現状」を構造で考える。
このシンプルな構造に気づけるかどうかが、地頭と知頭の分かれ目です。
――『地頭スイッチ』より
質を落とさずに実務にかかる時間を減らすことは難しいとすれば、着手までの時間を減らせばいいことがわかる。
「着手を1日早める」だけで、解決するかもしれないのだ。
実際これはかなり大きい。「正しく見積もるための準備期間」という意味も含め、いったん早めに手を付けることで、かなり改善されるように思う。
――『地頭スイッチ』より
「モゲジョの法則」は、納期の問題だけでなく、あらゆる課題に応用できる。
このシンプルで強力な考え方を身につけて、仕事力を上げていきたいと思う。








