夏休みに入り、子どもが動画やSNSばかり見ている。勉強せずに一日を過ごす姿に、ヤキモキしている親も多いのではないでしょうか。500万ダウンロードを突破したアプリ「集中」の開発者で、『脱スマホ術』の著者・戸田大介さんに、夏休みの勉強時間を確保するためのスマホ対策を聞きました。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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中高生のほとんどが「スマホを見すぎて後悔」
――学校がある日は、授業などを通じて一定の時間は勉強します。しかし、夏休みは自分で時間を管理しなければなりません。子どもがスマホを見てダラダラと過ごす様子に、頭を悩ませている親も多いと思います。
戸田大介(以下、戸田):先日、中学校で講演する機会があり、生徒のみなさんに「スマホをつい見すぎて、後悔することはありますか?」と質問しました。すると、ほとんどの生徒が手を挙げました。
また、弊社で開発している学習アプリ『集中』の調査によると、それは中学生に限らず、高校生になってもまったく同じです。
スマホを見すぎることに問題意識を持っているのは、親だけではありません。子ども自身も「見すぎてしまった」と後悔しています。
私が中学生の頃は、ほとんどの生徒が部活動に入っていました。しかし近年は、部活動を任意加入にする流れも進んでいて、部活動に入らない生徒も増えているそうです。
部活動がないと、家で過ごす時間も長くなります。手持ち無沙汰になって、なんとなくスマホを開く。そこから動画やSNSを見続け、気づけば何時間も過ぎていた、ということが起こりやすくなります。
SNSや動画を娯楽として楽しむこと自体が、悪いことだとは思いません。問題なのは、自分が「見たい」と思う時間を大幅に超えて、惰性で見続けてしまうことです。
動画やSNSのアプリには、一度見始めるとなかなかやめられなくなる仕組みが組み込まれています。気づいたときにはかなりの時間が経ち、「また時間を無駄にしてしまった」と後悔する。ありとあらゆる可能性に満ちた若い子どもたちが、貴重な時間をなんとなく無表情に、そして膨大に失ってしまうのは、少々もったいないように感じます。
「スマホの設定」を変えるだけで、集中力が高まる
――夏休みに勉強時間を確保するには、どのような対策が有効でしょうか。
戸田:まず試してほしいのは、勉強を始めるときにスマホを「集中モード」に切り替えて、通知が出ないようにすることです。
デフォルトの設定だと、通知が来るたびに、スマホを見る機会が生まれ、一度SNSや動画アプリを開くと、そのまま見続けてしまいます。通知が届かないようにすれば、スマホに意識を奪われる頻度が減少します。
無理に通知をオフにすると逆に気になってしまいますが、「勉強中だけ」モードを切り替えると、よいメリハリにもなります。
また、動画アプリの「自動再生」をオフにするのも効果的です。自動再生がオンになっていると、一つの動画が終わった瞬間に次の動画が始まります。そのため、「次も見るかどうか」を考える間がありません。
自動再生をオフにすれば、次の動画を見るには、自分で動画を選び、再生ボタンを押す必要があります。ほんのひと手間ですが、無意識のまま見続けてしまう時間を減らす効果があります。
アプリを消して、ブラウザでSNSや動画を見る
――ほかにも有効な対策はありますか?
戸田:さらに積極的にスマホ時間を減らしたいのであれば、SNSや動画のアプリを削除し、見たいときはブラウザ(safariやGoogle Chrome)で見る方法が効果的です。
アプリなら、アイコンを一度押すだけですぐに開けます。一方、ブラウザから見るには、検索したりログインしたりする手間がかかります。この小さな面倒があるだけで、「今は見なくてもいいか」と踏みとどまれる瞬間が増えます。
ただ、自動再生をオフにしたり、集中モードを使ったりすることはできても、アプリを消すことには抵抗を感じる人が多いようです。それだけ、SNSや動画アプリの依存性は強いものなのです。
若いうちのスマホ対策が、人生の時間を変える
――ルールを決めて、スマホ時間を管理することも有効でしょうか。
戸田:よく「スマホは1日2時間まで」と決めたり、「21時以降は見ない」とルールをつくったりする話を聞きますが、残念ながらあまり効果はありません。その日はうまくいっても、しばらくすると元に戻ってしまいます。
人間は、やる気だけで誘惑に勝ち続けられるほど強くありません。SNSや動画に一瞬でアクセスでき、惰性で見続けてしまう環境そのものを変えるほうが、長い目で見れば大きな効果を期待できます。
スマホは毎日使うものです。1年や2年の話ではなく、この先何十年にもわたって続くことです。やりたいことや、やらなければならないことがあるのに、スマホをダラダラと見て一日が終わる。そんな日々が積み重なるのは、もったいないですよね。
平均的な人は、1日に5時間ほどスマホを見ています。10代からこの生活が70年間続くと仮定すると、人生でスマホを見る時間は約14年にもなる計算です。
一生のスマホ時間を計算すると、思っている以上に膨大な時間になる
14年と聞くと、かなり驚かれる方が多いです。ただ、これはネガティブな話ばかりではありません。それだけ、自分のために使える時間があるとも考えられるからです。
たとえば、司法試験の合格に必要な勉強時間は、8000時間ほどといわれています。人生でスマホを見る約14年のうち、わずか6%ほどを勉強に充てるだけで、8000時間近くを確保できる計算です。
スマホを見る時間を毎日わずかに減らすだけでも、それが何年、何十年と積み重なれば、膨大な時間になります。だからこそ、若い段階で自分なりの対策を身につけておくことは、その後の人生に大きな影響を与えます。
ものすごく重要なのは、子ども自身の納得感
スマホを見すぎないようにするのは、大人でも難しいことです。それを子ども自身でコントロールするのは、簡単ではありません。スマホの使い方を完全に子ども任せにするのではなく、親子で話し合いながら、一緒に対策を考えることが必要だと思います。
ただ、ここで重要なのは、一方的に対策を押し付けないことです。子どもが納得しないまま、利用制限をかけても、子どもはすぐにそれを突破する方法を見つけます。
そうではなく、まずは和やかな空気で話をして、先に述べたような工夫で、ストレスなくスマホ時間を減らす方法があることを伝え(自動再生など、まさにそうです)、子ども自身が「これならできる」と納得してはじめて、ほんとうに効果を発揮します。
ほとんどの場合、子ども自身のなかにも「スマホを見すぎている」という感覚はあるので、ちょっとした話がきっかけになる可能性は十分にあります。小さな工夫をするだけで、「スマホを見ているうちに、何もしないまま終わってしまった」と後悔する時間を、少しでも減らせるはずです。








