「昇進して管理職になりたい」と希望を持つ若手ビジネスパーソンが激減していると言われています。「責任ばかり重くて割に合わない」「上司がいつも辛そうに働いていて、ああはなりたくない」――。巷では、こうした管理職の過酷さを表す言葉として「罰ゲーム」という表現まで使われるようになりました。しかし、これは単なる若者の甘えと切り捨てて良いのでしょうか。実は、管理職を取り巻く健康と労働の環境は、データで見るとかつてないほどシビアな状況にあります。話題の書籍『働き方の科学』より、管理職が直面している残酷な真実を紹介します。(構成/ダイヤモンド社・上村晃大)
Photo: Adobe Stock
管理職は本当に「罰ゲーム」なのか?
ここ最近、「管理職は罰ゲーム」という認識が広がっています。
責任の重さや業務範囲の広さ、上司がいつも辛そうに見える、などの理由で、管理職を志す若手ビジネスパーソンが減っていることを受けて広まったようです。
実際のところはどうなのでしょうか。果たして本当に、管理職は「罰ゲーム」と思われるほど過酷と言えるのでしょうか。
書籍『働き方の科学』では、2000年代を境に、管理職を巡る状況が大きく変わったと述べています。該当箇所を引用しましょう。
国立健康危機管理研究機構の和田耕治参事らは、全国の30~59歳の日本人男性を対象に、1980年から2005年までの死亡率の変化を職種別に調べました(*1)。
図1はその結果を示しています。1995年までは管理職の死亡率が最も低く、「その他」の職種の死亡率が最も高いという結果でした。
図1 2000年以降、管理職の自殺が急増
しかし、2000年代に入ってから状況は変わります。管理職や専門職の死亡率が約70%増加し、2005年には管理職の死亡率がトップになりました。
死因を詳しく見てみると、管理職の自殺率がこの時期に急上昇していることがわかりました。1980年からの25年間で、管理職の自殺率は271%の増加となっています。
論文の中で、労働者に占める管理職の割合は1980年には8.2%と報告されています。一方、2005年にその割合は3.2%と大きく下がりました。リストラによって人員削減が行われ、少ない人数で多くの仕事を管理職が抱え込まなければならなくなった状況がうかがえます。
図1はその結果を示しています。1995年までは管理職の死亡率が最も低く、「その他」の職種の死亡率が最も高いという結果でした。
図1 2000年以降、管理職の自殺が急増
死因を詳しく見てみると、管理職の自殺率がこの時期に急上昇していることがわかりました。1980年からの25年間で、管理職の自殺率は271%の増加となっています。
論文の中で、労働者に占める管理職の割合は1980年には8.2%と報告されています。一方、2005年にその割合は3.2%と大きく下がりました。リストラによって人員削減が行われ、少ない人数で多くの仕事を管理職が抱え込まなければならなくなった状況がうかがえます。
「働き方改革」のしわ寄せをすべて受ける管理職
とはいえ、近年は「働き方改革」で労働環境は改善されているのでは、と思う人もいるかもしれません。しかし、改善されているのは一般の労働者のみで、管理職はそのしわ寄せを受けていると指摘した調査があります。
パーソル総合研究所が中間管理職2000人を対象に行った調査では、働き方改革が進んでいる企業ほど、管理職の業務量が増える傾向にあることが示されています(*2)。
これでは、管理職を目指そうというのも無理があるでしょう。
『働き方の科学』では、管理職が報われるかどうかは、職場の制度設計に大きく左右されていると指摘した上で、管理職が生き生きと働くことができる組織づくりが日本企業の課題になっていると述べています。
注
*1 Wada, K., Kondo, N., Gilmour, S., Ichida, Y., Fujino, Y., Satoh, T., & Shibuya, K. (2012). Trends in cause specific mortality across occupations in Japanese men of working age during period of economic stagnation, 1980-2005: Retrospective cohort study. BMJ, 344, e1191. https://doi.org/10.1136/bmj.e1191
*2 パーソル総合研究所「中間管理職の就業負担に関する定量調査」2019年
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/middle-management/
*1 Wada, K., Kondo, N., Gilmour, S., Ichida, Y., Fujino, Y., Satoh, T., & Shibuya, K. (2012). Trends in cause specific mortality across occupations in Japanese men of working age during period of economic stagnation, 1980-2005: Retrospective cohort study. BMJ, 344, e1191. https://doi.org/10.1136/bmj.e1191
*2 パーソル総合研究所「中間管理職の就業負担に関する定量調査」2019年
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/middle-management/








