「共働きなのに、なぜか自分ばかりが家事や育児に追われている」「夫のほうが帰りが早いはずなのに、部屋が散らかったままになっている」――。そんな不満やモヤモヤを抱えている女性は少なくありません。そもそも家庭内の負担が女性に偏ってしまうのはなぜなのでしょうか。話題の書籍『働き方の科学』より、共働きであっても「夫が家事をやらない」科学的な理由を明らかにし、私たちが直面しているジェンダー格差の深層に迫ります。(構成/ダイヤモンド社・上村晃大)
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妻が主な稼ぎ手であっても、家事は「妻の役割」?
前回の記事で、男女間の賃金格差の主な理由は、仕事における「時間の柔軟性」が不十分だからであると明らかにした研究を紹介しました(*1)。
つまり、長時間労働や、急な呼び出しの対応、休日勤務といったような「時間を無視した働き方」に高い報酬が与えられているということです。
家事育児などの家庭内の対応が偏りがちな女性はそのような働き方が難しく、結果として男女間の賃金格差が残ってしまうのです。
では、なぜそもそも家事育児などの家庭内の対応が女性に偏りがちなのでしょうか? 話題の書籍『働き方の科学』では、共働きでも夫がなかなか家事をやらない理由を検証した研究を紹介しています。
図1は、アメリカの「生活時間調査」を用いて、異性カップルと同性カップルの家事分担を比較したものです。
図1 妻のほうが稼いでいても、家事は妻に偏る
「夫が無職」でも、家事は妻に偏る
ここまで読んで、「いやいや、女性は出産や授乳があるんだから偏るのは仕方ないじゃないか」と思う人もいるかもしれません。しかし、この研究では、そのような生物学的な違いが原因であるという考え方は否定されています。
研究チームが分析を進めると、妻の賃金が夫の2~4倍であっても、夫の家事時間は変わらないことがわかりました。さらに酷いことに、夫が無職になって妻だけが働いているときでさえ、夫は家事時間をほとんど増やさず、自分の余暇の時間を大幅に増やす傾向が確認されました。
夫が無職になっても、夫は家事をやらずに余暇の時間を増やす傾向があるという衝撃の結果です。
さらに研究では、結婚や離婚の前後で家事時間がどう変化するのかを明らかにしています。
図2 離婚すると女性は家事から解放される
ラフォーチュン教授らは、妻に家庭の負担が偏る原因は、「女性が家事をするべきだ」という「ジェンダーロール(性役割)」に関する固定観念だと結論づけています。たとえ妻のほうが稼いでいたとしても、家事をするつもりがない夫に問題があったのです。
なんと、要は男性の意識の問題だったのです。これでは、女性にとっての結婚のメリットがほとんどないも同然でしょう。男性の意識が変わらなければ、婚姻率や出生率の低下を食い止めるのは難しそうです。
*1 Goldin, C. (2014). A grand gender convergence: Its last chapter. American Economic Review, 104(4), 1091-1119. https://doi.org/10.1257/aer.104.4.1091
*2 Hancock, K., Lafortune, J., & Low, C. (2025). Winning the bread and baking it too: Gendered frictions in the allocation of home production (Working Paper No. 33393). National Bureau of Economic Research. https://doi.org/10.3386/w33393








