オープンAIはいかに王座を失ったか、奪還へ攻勢(左から)オープンAIのサム・アルトマンCEO、同社アドバイザーのフィジー・シモ氏、アンソロピックのダリオ・アモデイCEO
EMIL LENDOF/WSJ, BLOOMBERG

 米オープンAIは、人工知能(AI)ブームの火付け役でありながら、競合のアンソロピックに後塵(こうじん)を拝している。同社は現在、巻き返しに向けた攻勢に出ている。

 オープンAIの消費者向け主力製品である「チャットGPT」の成長は鈍化している。サム・アルトマン最高経営責任者(CEO)の後継者候補とされていたフィジー・シモ氏の退社により、同CEOの側近幹部の間で職務の再編が行われた。さらに営業担当者は、大量購入割引などの優遇措置を提示して収益性の高い法人顧客を取り込もうと、 コストのかさむ競争 を繰り広げている。

 オープンAIの大口投資家の一部は、同社の成長ペースに見合わない激しい現金消費について、ここ数カ月で非公式に懸念を示していると、こうした会話に関与した関係者らは述べた。またアンソロピックに資金を投じることで、オープンAIへの投資リスクをヘッジしている投資家もいる。

 一方、アンソロピックの 売上高成長率 は最近オープンAIを上回り、企業価値の評価額も同様に、コーディングツール「クロード・コード」の成功を背景として現在1兆ドル(約158兆円)に迫っている。同社は今秋の新規株式公開(IPO)に向けた計画を加速させており、投資家候補との協議を開始している。協議に詳しい関係者によると、同社はオープンAIに対する優位性を強調している。

 アルトマン氏は7月、「過去1年は最高とは言えなかった。これはほぼ私の責任だが、これから先の1年は過去最高になるはずだ」とXに投稿した。「チームは素晴らしい仕事をしており、彼らが準備していることにきっと満足してもらえると思う」

 オープンAIが王座奪還に向けて直面している課題は、幹部らが以前にAI市場の動向を見誤ったことに根ざしている。同社の苦境はAI覇権を巡る競争の激しさを物語っている。