脳が疲れると「普段気にならないこと」が気になり始める

しかし、何らかの理由で脳が疲労し、その機能が低下してくると、さまざまな影響が出てきます。意欲が湧かなくなったり、ミスが増えたりするだけでなく、先ほどお話しした「フィルター機能」もダメージを受けてしまいます。

フィルター機能が落ちると、「普段なら気にならないはずの不要な情報」が意識に上るという現象が起きてきます。例えば、次のような経験はありませんか?

●疲れているはずなのに神経が高ぶり、時計の秒針やエアコン、冷蔵庫の音が耳障りで眠れない
●同僚や友人の、悪気のない些細な一言がグサッと刺さり、いつまでも引きずってイライラしたり悲しくなったりする
●普段なら気にしないような子どもの大きな声に、ついイラッとして怒ってしまう

これらはすべて、「いらない情報をカットして気にしない力」が低下しているために起こる現象です。

些細なことが気になり始めたら

もともと些細なことが気になりやすい性格の方もいますが、「普段は気にならないのに、急に気になり始めた」という場合は、脳がかなりお疲れのサインです。「最近ちょっと頑張りすぎたな」と自覚し、翌日以降の過ごし方を調整する必要があります。

いつもの残業を減らしてみたり、抱え込んでいる仕事を一つ断ってみたりと調整を行い、再び「些細なことが気にならなくなる」状態に回復するまで、脳をゆっくり休ませることを意識してみてください。

要注意のサインを見逃さないで

ちなみに、うつ病の治療などで使われるお薬(抗うつ薬)には、「気にしない力」を高めてくれる作用があります。「なんとかなるさ」「大丈夫だろう」と思えるのも、実は脳のフィルター機能のおかげなのです。心が疲弊していると、すべての出来事を悪いほうに解釈して不安になってしまいますが、お薬はそうした状態を和らげ、脳の機能回復をサポートしてくれます。

人間は疲れると、どうでもいい情報を「どうでもいい」と思えなくなってしまいます。いつもなら気にならないことが急に気になり始めたら、どうか要注意のサインだと受け取ってください。