点滴を受けながら病床で横たわる高齢者の手写真はイメージです Photo:PIXTA

終末期の医療では、本人の意思だけでなく、医師の治療観や家族の不安が選択を左右する。誰もが本人のためを思っていても、その判断が本人の望む最期と一致するとは限らない。延命をめぐる「善意のずれ」は、どこで生まれるのか。※本稿は、老年心理学者の佐藤眞一『お医者さんはなぜ「がんで死にたい」と言うのか?超長寿時代の老いと死を考える』(光文社)の一部を抜粋・編集したものです。

命を延ばすよりも
苦痛を緩和してほしい

 あなたは、人生の最終段階に至ったとき、どのような医療を望みますか?

 延命治療でしょうか、それとも緩和医療でしょうか。

 ホスピス財団のアンケート調査では、「生命をなるべく長くする治療(延命治療)よりも、痛みや苦痛を取り除く治療(緩和医療)をより希望する」が63.4%で、「苦痛が伴っても延命治療を希望する」の7.6%を大きく上回っていました。2018年の調査結果と比較すると、緩和医療希望が58.1%から63.4%へと増加しているのに対して、延命治療希望は10.9%から7.6%へ減少していて、延命を望まない人が増えていることがわかります。

 男女別では、男性で「特に希望はない」「わからない」が多くなっています。男性は女性よりも、最終段階の医療について考えたことのない人が多いのかもしれません(図表6)。

図表6 人生の最終段階に希望する医療(性別・年代別)同書より転載 拡大画像表示