マンション羅針盤 管理&売買#41Photo:PIXTA

億単位のカネが動くマンションの大規模修繕工事。だが、工事間際に専門家を名乗る怪しい人物が修繕委員に立候補し、工事を利害関係のある業者が受注するように誘導するなどのトラブルも発生している。こうした悪意ある乗っ取りはどうすれば予防できるのか。連載『マンション羅針盤』の第41回では、マンション管理士でもあり、マンション管理組合理事長団体のトップでもある「はるぶー」こと應田治彦氏が、実体験も踏まえた「大規模修繕工事の要諦を握る修繕委員会を成功裏につくる方法」について伝授する。(マンション管理士 應田治彦)

外部の怪しい人物に大規模修繕工事を乗っ取られないためには?
キーになるのは修繕委員会のつくり方と運営の仕方にある

 大規模物件やタワーマンションであれば、数億円から十数億円が動くマンションの大規模修繕工事。その工事の内容と発注先を実質的に決めているのは、マンション管理組合の理事会ではなく、その下部組織である修繕委員会である。

 この修繕委員会を巡る事件が、昨年来首都圏の大規模マンションで続発している。大規模修繕工事を受注する業者の関係者が区分所有者の中から協力者を仕立て、その親族として委員会に入ったり、区分所有者本人をリモートで動かしたり。自ら住戸を取得して組合員になったり、本当の所有者と口裏を合わせ、購入したふりをして理事や修繕委員に立候補したり――。実際にこうした事態と向き合った理事長は、決して少なくない。

 多くの管理組合が大規模修繕工事の発注を委ねる修繕委員会は、工事の2~3年前に慌てて立ち上げ、工事が終われば解散する。これは、修繕委員の募集時期が外部から予測できてしまうやり方で非常に危険だ。それならば管理組合の側が、こうした怪しい外部の人物に入り込まれない組織をあらかじめ設計しておくしかない。そして、その設計はほぼ全て、修繕委員会の「立ち上げ方」で決まるのだ。

 今回は大規模修繕工事を外部の悪意ある団体から守るための修繕委員会のつくり方を、マンション管理士とマンション管理組合理事長の視点から伝授しよう。怪しい人物が入り込まない、マンションを食い物にされないための五つのポイントを、次ページから詳細に解説していく。