ガソリンスタンドで車に給油する女性写真はイメージです Photo:PIXTA

ガソリン補助金を投入しても、約7割の地点で卸売価格と小売価格の差が広がっていた――。巨額の公費を投じてガソリン価格の抑制を図ってきたが、その効果は消費者が支払う小売価格にどこまで届いていたのか。元会計検査院長の田中弥生氏が、会計検査院のデータをもとに、ガソリン補助金の実効性と、その効果を検証する難しさに迫る。※本稿は、東京大学公共政策大学院客員教授の田中弥生『税金はどこへ行くのか 元会計検査院長が見た「日本の財政」』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。

ガソリン補助金は
卸売業者に支給される

 ガソリン補助金事業は、ガソリン価格高騰対策として、卸売事業者に対して補助金を講じることによって、国民の負担を軽減することを目的としている。

 ガソリン補助金が実施されてから間もなく、財務省がその効果について問題提起している。

 2022年3月から7月までのガソリン販売実績量等を基にガソリン補助金の価格抑制効果を機械的に推計したところ、抑制額が補助金の交付額を約110億円下回っていたというのだ。この発表は、財政制度等審議会やメディアで取り上げられ、国会でも議員から大臣に質問が投じられた。

 こうした状況に呼応するように、資源エネルギー庁は予算執行調査の結果を踏まえ、国内のすべての小売事業者(ガソリンスタンド等)に対して、電話による小売価格の聞き取り調査(電話調査)や実地調査を増やすことにした。

 その際に、ガソリン補助金の趣旨について説明して、小売価格を抑制するように促すのだ。

 ちなみに、小売事業者に対して小売価格の値下げを強制せず「価格の抑制を促す」とある。値下げを強制しないのはなぜか?

 補助金給付対象が卸売業者であって、小売事業者ではないからで、小売事業者は値下げの義務を負わない。あくまでも小売事業者に価格抑制のお願いをすることに留まるのだ。