つまり、「変化なし」と「縮小」は、補助金によって卸売価格が抑制されたことに伴い小売価格も抑制された可能性があることを意味する。だが、それは全体の3割に留まっている。
他方、右側の「拡大」は、卸売価格よりも小売価格の上昇分が大きく、価格差が拡大したことを意味するが、全体の7割であった。どうやら小売価格の抑制は卸売価格ほど利いていないようである。
小売価格の抑制は義務ではなく、協力ベースであることを前述したが、その難しさを物語っている。
「約7割」の結果だけでは
補助金の効果を断定できない
ガソリン補助金による小売価格の抑制効果は、ここで述べたような補助金額と価格抑制額の比較や卸売価格と小売価格の価格差の比較だけでは十分に検証できたとは言えない。
『税金はどこへ行くのか 元会計検査院長が見た「日本の財政」』(田中弥生、講談社)
ガソリン価格には、ガソリンの需給状況、石油輸入価格や為替の動向、さらには賃金動向などさまざまな要因が影響しているからだ。
したがって、効果検証にはより高度な分析が必要である。ガソリン補助金のような大型補助金には、契約内容や業務執行の検査に加え、経済効果の分析も含めて、政策判断に必要な情報を提供してゆくべきだろう。
2026年2月末からのイラン紛争により、深刻な石油供給不足と原油価格の高騰に陥り、ガソリン補助金事業(中東情勢を踏まえた緊急的激変緩和措置)が再び実施されているが、その方法は本検査で説明した方法と同様である。
果たして、会計検査院の指摘はきちんと反映されているのか、ガソリン価格は補助金を投じたほどに抑制されているのか。補助金が開始されたことにとどまらず、その方法や効果をしっかりみてゆく必要がある。







