「どん底でも折れない人」に共通する、たった1つの考え方〈風、薫る第103回〉

貧乏で不健康でも弱くない

 飾り棚の花が質素になっている。しのぶがいた頃は、華やかな大きめな花が生けてあった。もしかして、しのぶが花を生けていたのかもしれない。呉服屋の娘だから、そういう意識は高そうだ。

 直美にシマケンのことを聞かれて、りんは言う。

「急がなくていいから何か違うやりたいことを見つけてほしいなって」

 ああ、やっぱりシマケンは小説を諦めて、何者でもない自分を受け入れたのか。

 そこへまた、無料看護を頼みたい人が現れた。隣のおじさんが右足を怪我して動けないが身寄りがないため、相談に来たのだ。

 そのおじさんこそ、太田光だった(遠藤平蔵役)。どうやら団扇職人のようだ。

 お花がお好きなんですね、と生けてある花(草っぽいが)に気づく直美に「俺の趣味じゃねえや」とぶっきらぼうな遠藤。この花は直美のところに看護を頼みに来た女性ヤエ(小山まりあ)の趣味であろうか。

 シソンヌじろうが演じた、フユ(明星真由美)の旦那さんも最初のうちこんな感じで世間から背を向けている感じで、構われると迷惑そうだった。

 体が弱ると素直になれなくなってしまうのかも。

 遠藤はいいと言うが、直美は医者を呼んで診てもらう。こういう診療代も看護婦会で負担しているのだろうか。なかなか手厚い。

 遠藤にどうして無料なのか聞かれた直美は、「医療や看護を受けられない貧しい人や弱った人にこそ手を差し出したいと思って…」と答える。

 すると遠藤はこう反論した。

「俺は体壊して稼げないから貧乏だ。うん…病気してるから体も弱い。けど、弱い人間じゃないと思ってるよ。こんな場所で生きていけるんだから案外強いんじゃないかってね。へへっ」

 負け惜しみのようにも聞こえるが、物事の本質を突いているとも言える。

 諦めたら試合終了だが、自分から負けたと認めないうちは負けていないみたいな考え方だ。これを第102回で、自分の弱さを突きつけられてしまったシマケンに聞かせてあげたい。