──お悔やみ営業とは?

安部 ご不幸の情報をつかんでご遺族の元にお伺いし、仏壇や墓石などの営業を行うことです。仏壇業界の悪しき伝統で、当店では一切しません。仏壇とは家族の誇りと先祖の尊厳です。今を生きる私たちが先祖によって生かされていることに気付き、人間らしく生きるため自分の都合を優先させてはならないという先人の知恵です。居間に合うとか、掃除が簡単で安価だといった、お客さまの要望に迎合してそれを優先させると、お客さまの品格を落とすばかりです。私たちの仕事はお客さまの品格を高めることです。

 お悔やみ営業なしで商売をし、お客さまに仏教の教えを伝えるためには、お客さまに来ていただける店舗をつくり上げることが不可欠です。商品を豊富にそろえているのも、入店しやすい雰囲気をつくっているのも、すべてはそのためです。

──しかし「待ちの商売」で、最初からうまくいったのでしょうか?

お悔やみ営業をしない仏壇・仏具店 品ぞろえの豊富さと「3K」で集客上は大分本店。明るく開放的で、気軽に入りやすい。寺院の納骨堂や内陣などの設計・施工も数多く手がける(下)

安部 正直、大分本店ができる頃までは大変でした。旧店舗は小さかったので、品ぞろえも少なく、お客さまから「他の商品はないの?」と聞かれたことが何度もありました。先代の父から「売れない商品を抱えてどうする」と叱られたこともありました。しかし、02年以降に大型店を出店することで、潮目が変わりました。大分信用金庫さんから融資を受けられたことで、06年に高城店を出店できたことも大きかったですね。

──仏壇・仏具販売以外の事業は何を?

安部 他には大分県内の寺院や神社を対象に、本堂・本殿にある内陣や納骨堂の設計・施工も手がけていて、収入のもう一つの柱になっています。訪れる方によい印象を持っていただけるよう、当店では「想像の150%のものをつくる」をモットーに、総合デザインから細かな装飾、照明まできめ細かにつくり上げています。例えば提灯は、普通は中に電球をぶら下げるだけですが、当店はLED電球の光量を微調整できる制御装置を内蔵させ、雰囲気を演出できるようにしています。

 工事費用は数千万円に及ぶこともあるのですが、寺院や神社は土地が担保になりにくいので、金融機関から融資が受けられないことが多々あります。そんなときにも大分信金さんは過去の納骨堂の収支などのデータを示すと耳を傾け、融資をしてくださり、感謝しています。

──今後の抱負をお聞かせください。

安部 これまでも時代の変化に合わせて業態を変えてきたので、今後も柔軟に対応していきたいと考えています。仏壇・仏具に関する正しい知識や、仏教が説く倫理や道徳の大切さをこれからもお客さまに伝えていきたいですね。

(取材・文/杉山直隆、「しんきん経営情報」2026年9月号掲載、協力/大分信用金庫

事業内容:宗教用具の製造・販売
従業員数:8人
売上高:3億5000万円(2024年9月期)
所在地:大分県大分市豊饒2‐3‐11
電話:097‐514-9100
URL:abebutugu.com