【視点2】
「5年で2782万円」以外の選択肢は存在するか?

 さて、東京都在住で中央値であれば有料老人ホームに「5年で2788万円」の老後資金が必要になるという話をしたのですが、それ以外の選択肢はあるのでしょうか?もちろん入居一時金1億円の施設で悠々と老後を過ごしている知人も知っていますが、ここで扱うのは逆の、より少ない老後資金でもはいれる施設です。

 複数の経験者に訊ねたところ、現実的には地方の有料老人ホームを巡るというのがその解決策だったそうです。都内のお手頃な施設を見学した際に、親がどうしてもその施設には入りたくないと言い、息子本人も確かに自分だったら嫌だなと思ったそうです。それで静岡県まで範囲を広げたうえで、最終的に入居する施設を選ぶことができたといいます。

 同じLIFULLの調査によると東京、京都、兵庫といった大都市圏では入居時一時費用の中央値が1000万円前後と歴史的な高さになってきているのですが、それに比べて入居時費用の中央値が300万円未満の都道府県もその近郊になら存在します。

 具体的には首都圏なら群馬、栃木、山梨、静岡、名古屋圏なら岐阜も候補に入ります。近畿圏なら滋賀、岡山、香川といったエリアです。人気の沖縄も同じく300万円未満ですが、現住所からあまり離れ過ぎると、親に会いにいける頻度が極端に下がりそうです。

 首都圏在住の60代にとって残念なことは、この「5年で2788万円」という条件は今後、さらにインフレに向かいそうだということです。首都圏で生活していると不動産価格の上昇、人件費の上昇、食料品価格や光熱費の上昇、いずれもひしひしと負担が増えていくことを感じています。それが同様に有料老人ホームにものしかかってくるわけです。

 それらの要素を考えると、現実的な選択肢として親の終のすみかをどの都道府県にするかも今のうちに話し合っておいたほうがいいかもしれません。

【視点3】
月20万円を仮に負担することになったとしたら?

 最後の視点を見てみましょう。仮に親を有料老人ホームに入れるにあたり、月額費用は自分が負担しなければいけなくなったとしたら、自分の定年後の生活はどうなるのでしょうか?

 仮にモデルとして50代までは年収700万円、60歳を過ぎて再雇用で年収は半減、70歳手前で引退しようと考えていたとしましょう。親の老後資金を取り崩してなんとか近県の有料老人ホームに入居まではできたとします。