一時金は不動産価格の違いで地方では安くなりますが、毎月の費用も地方の施設のほうが安くなります。家賃以外にも人件費、食費、光熱費がその内訳ですから、そこは仕方ないでしょう。

 今回は、都内の中央値29.7万円を前提に、入居できた施設はそれよりも若干安い月額26万円だったとします。

 その費用の一部を親の国民年金6万円をあてたとして、残り月20万円を自分が負担することに決めたとします。そのタイミングが上記モデルとして60代、嘱託として年収350万円のタイミングで決断を迫られたとしたら、自分の生活はどうなるのでしょうか?

 普通に考えると生活が成り立たないことがすぐにわかります。現実には、施設に入れられないから家族で介護をするという選択をする人がたくさん存在するわけです。ただこの記事ではあくまでモデルとして、親を有料老人ホームにいれた場合を考えていきます。

 これもモデルとしての考え方ですが、一番わかりやすい改善策は共働きでしょう。夫婦で手取りの月収が50万円なら20万円を親に出したとしても数字上は生活費は回るかもしれません。ちなみに親の介護費用には贈与税は発生しませんので、その点はご安心ください。

 ただここはあくまで思考実験として記事を書いているのですが、自分事として考えれば夫婦で月収50万円のところから親に20万円出して、自分たちは月30万円で生活するというのは精神的にかなりきつい状況でしょう。

 こうして思考実験してみるとわかるのですが、親を含めた老後生活を成立させるには、50代のうちから思っていたよりも多くの老後資金を蓄えておくことが必要なことがわかります。

 おそらく親の世代の大半は老後資金を銀行預金で蓄えてきたはずですから、それほどアップサイドは期待できません。

 ですからその息子世代は、新NISAなどを積極的に活用し、投資信託を中心に「増えていく老後資金を計画的に蓄える」備えが必要です。