サイゼリヤの店先写真はイメージです Photo:PIXTA

「値上げしない」と宣言していたサイゼリヤが、ついに価格改定を検討し始めました。人気のミラノ風ドリア等も対象と見られ「もうサイゼには行けない」と嘆く声も聞こえてきそうです。しかし、実は他の飲食チェーンが「客離れ」に苦しむ中、同社には値上げしても客がついてくる〈緻密な計算式〉がありました。国内事業が絶好調な今、なぜあえて値上げするのか?そして、今後のサイゼリヤの前に立ちはだかる“外食産業以外の真の敵”とは?(百年コンサルティングチーフエコノミスト 鈴木貴博

「値上げしない」宣言の終焉
サイゼリヤが迎えた限界点

「値上げをしない」とこれまで宣言してきたのがサイゼリヤでした。創業者の正垣泰彦会長は2022年当時、こう語っていました。

「給料が増えない中で、いまサイゼリヤが価格を高くするとお客さんはどうなります?困るでしょう。だから、サイゼリヤは値上げしない。極めてシンプルな話です」

 そのサイゼリヤがいよいよ「値上げ」に動きます。7月に行われた第三四半期の決算発表の場で、松谷秀治社長が来期は消費者物価指数の動向を見ながら「アフォーダブルプライスの範囲内での価格改定も視野に入れる」と発言したのです。

 アフォーダブルプライスとは手ごろな価格を意味する言葉です。サイゼリヤの場合、具体的には現在300~600円の範囲に設定されていた主要メニューの価格を320~640円の範囲で価格改定を検討しているということです。

 人気のミラノ風ドリア300円が320円に値上げなら、値上げ幅は20円と比較的庶民の財布への打撃は小さいように思えます。一方で値上げ率としては約7%になりますから、メニュー全体での値上げとなると会計時にはそれなりに高くなったことに気づく改定にも思えます。

 外食産業では「かつや」が相次ぐ値上げで客離れを起こしたことが話題になっています。サイゼリヤは大丈夫なのでしょうか?

 そこでサイゼリヤの決算発表での開示内容をベースに、今回の値上げ戦略の是非について3つの視点で分析してみることにします。