AI技術が急速に発展したころ、「AI時代になれば分散型のイノベーションが進み、アメリカ一極ではなくなる」という議論が、ニューヨークタイムズでありました。生成AIでは中国、半導体製造では台湾が力をつけており、その勢力図がどう変化していくのかは未知数です。

 しかし、巨大な移民国家として、世界中から優秀な人材が集まり、その知恵の集積としてプラットフォームそのもの、ビジネスモデルそのものをつくる発想力や実行力はアメリカが圧倒的に抜きん出ていることは間違いありません。

 そして第三に、教育機関の層の圧倒的な厚さです。

 アメリカ建国の当初から、「教育」は非常に重視されてきました。ハーバード大学も、もとはピューリタンの聖職者養成校として創設されたものです。建国後すぐに高等教育機関を設立し、優秀で使命感のあるエリートが育成され、憲法や制度づくりを担ってきた。その教育重視の精神は、今もアメリカ社会に受け継がれています。

 トランプ氏の留学生へのビザ発給要件の厳格化は、トランプ氏の退任後は緩和の方向に向かうと考えられます。大学教育を通じて優秀な人材を集めて経済発展させることはアメリカの本質と言ってもいい部分であるからです(一方で優秀とは言えない移民はより制限される可能性があります)。

 総合すれば、アメリカは結局のところ、安全保障や経済発展という点からは世界随一の「恵まれた国」ということでしょう。

 他国からの侵略リスクが極めて低い地理的条件、強大な経済力と軍事力、優秀な人材を引き寄せるイノベーティブな開拓精神──これらの強みを、社会的分断が深化する時期にあってもなお、揺るぎなく保持している。かつて海を渡ってきたピューリタンでなくとも「神の国」と呼びたくなるくらいです。