そのため、エネルギー政策においても、かつてほど西欧と足並みをそろえる必要性は高くありません。こうした環境政策をめぐる欧米の溝の拡大もあり、アメリカはますます内向きな「自国第一主義」となっていくと考えられます。

地理と競争原理が支える
アメリカの強さ

 波乱含みのアメリカですが、この国が衰退する未来像はないでしょう。多くの課題を抱えながらも、アメリカが今後も「世界の中心」であり続ける理由がいくつもあるからです。

 第一には、その広大な国土と地理的安全保障です。

 アメリカは、東西は海に面しており、北はカナダ、南はメキシコと、陸続きの軍事的脅威がありません。独立戦争に南北戦争と内戦はありましたが、独立戦争以降に外国勢力に領土を直接攻撃された経験は真珠湾攻撃と9・11同時多発テロ以外には少なく、戦争はアメリカの領域外で行われるという認識すらあります。

 このように、隣国から軍事侵攻されるリスクが極めて低いという立地は、世界史的に見ても突出した好条件なのです。

 第二に、アメリカが育んできた勤勉の精神と競争原理です。「優秀な人が報われる社会」は、成功ルートからこぼれ落ちてしまった人にとっては厳しい社会と言えますが、「勝ち残れる人」にとっては、アメリカは「最高の国」なのです。

 プロテスタント的価値観からくる勤勉さに、世界中から優秀な人材が集まることで醸成された競争原理が掛け合わされ、アメリカは「能力のるつぼ」となりました。次々とイノベーションを起こしてきた世界第1位の経済大国は、この2大要素に支えられてきたところが大きく、この成功の構造は今後も拡大するでしょう。

 その中で、北欧で生まれたSkypeが、最終的にアメリカのマイクロソフトに買収され、Teamsへと統合されたように、他国で生まれた技術がアメリカの巨大資本を通じて世界的な事業へとスケールするといったケースも、引き続き生じていくはずです。

AI関連ビジネスは今後も
アメリカを中心に成長する

 また、現状を見る限り、ChatGPTやGeminiなどの生成AIのプラットフォームビジネスはアメリカ発であり、これからもアメリカ中心が続くと見るのが妥当です。