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「お金のかかる趣味」と聞けば、ギャンブルや海外旅行、美術品のコレクションを思い浮かべる人が多いだろう。だが精神科医の和田秀樹氏は、もっともお金のかかる趣味は「貯金」だと指摘する。お金を使わず、ひたすら貯め続けることが、なぜ人生の豊かさを損なうことにつながるのか。年齢を重ねたからこそ考えたい、お金との付き合い方を探る。※本稿は、精神科医の和田秀樹『脳が若返る思考の自由』(幻冬舎)の一部を抜粋・編集したものです。
精神科医であれば
患者の心は見通せる?
私の人生体験から一つ言える意見は、「何事も試してみるまで答えはわからない」ということです。
長年、医者をやっていると、とくに精神科のように人間の心にかかわる医者をやっていると、こちらが期待したように患者さんがよくならないことは非常に多いと痛感します。
こちらがよかれと思って出した薬でかえって具合が悪くなったり、こちらがよかれと思って発した言葉に傷つく患者さんさえいます。
最悪の場合、それで来なくなることもあるのですが、また来てくれれば、「ごめんなさい、いいと思って出したんだけど、合わなかったのですね。では、別の薬を試してみましょう」ということになります。
こちらの言葉で傷ついた場合、その場で言ってくれたり、機嫌が悪くなったことに気づけば、フォローします。
精神科医だからといって、個人差がある人の心がすぐにわかるわけではありません。
でも、薬なり言葉なりを試してみて、結果を見て、それで修正していけば、かなりの確率で、ある程度時間をかければ患者さんはよくなってくれるものです。
こういう医者としての経験から、試してみるまで答えはわからないという人生観をもったわけです。
試してみるまで答えがわからないのは、医者の世界だけではないでしょう。
世の中でいちばんお金のかかる趣味は何でしょうか?ギャンブルでもなく、旅行でもなく、美術品のコレクションでもないのです。正解は「貯金」です。
この趣味をもったら、そのことにしかお金を使わない。あり金のほとんどをそれに注ぎ込むわけですから、どんなに大金持ちであったとしても、1万円のワインを飲むことすらもったいないと思うようになります。
「貯金」が趣味になると
お金が使えなくなる
だから貯金が趣味の人は、どれほどお金があったとしても幸せになれません。なぜなら、常にお金が減るのを恐れ、「もっともっと」とお金を欲しがって、預金通帳の数字が増えることだけが楽しみで生きている人間になるわけですから。
お金がないからケチなのはかわいそうだなと思いますが、お金があるのにケチな人間というのは疎まれて、結局、人が離れていきます。卑しい奴だとか、御里が知れるよねなどと、そしられるだけです。
思考の自由がないと、せっかくのお金も活きないのです。
相続税を100%にしたほうが、お年寄りがお金を使うようになるので景気がよくなるという私の持論も試してみないとわかりません。
私を批判する人たちが言うように、そんなことをすればお金持ちがみんな海外に逃げていくかもしれませんし、歳をとってから税金や子どものために外国でなんか暮らしたくないと思う高齢者が意外に多く、それが杞憂になるかもしれません。
これも試してみないとわからないことです。
どんなに偉い学者が理屈を言ってこちらを批判したところで、試していないのだから、こちらの主張が間違いと決まったわけではないことだけは確かです。試す前は、なんでも間違いとは言えないと思えば、こちらが専門外のことでも自由に発想できたり、発言できたりすることは確かです。
たとえば私が経済の専門家でないのに、経済学のことを論じられるのは、もちろん心理学から見た意見が言えるということもあるのですが、それ以上に、試すまで否定することができないという人生観をもっていることのほうが大きいと思います。







