オバマ再選の裏で、アメリカ政治の分断は着実に深まっていた。出生地をめぐる誤情報が広がり、最高裁判事の任命では党派対立がむき出しになる。2016年と2020年で異なる対応を見せた共和党の動きから、いまのアメリカ政治につながる「分断の原点」を『アメリカの中学生が学んでいる 14歳からのアメリカ史』からたどる。
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2012年のオバマ再選
2012年の大統領選の焦点は、景気回復と医療保険制度改革だった。現職のオバマと共和党の実業家で元マサチューセッツ州知事のミット=ロムニーとの対決では、アメリカ人はオバマにさらに4年間を託す選択をした。オバマが大統領としてとった重要な行動には、次のようなものがある。
●2009年の景気刺激策は、その後10年間の経済成長を支えた。
●ウォール街の規制強化。
●「幼少時に入国した若者たちのための強制退去措置の延期(DACA)」の導入。幼いときに親に連れられてアメリカに不法入国した人々に対し、強制送還を猶予することにした。
●イラン核合意。イランに対し、核物質を民生利用のためだけに用い、兵器のために使用しないことを証明するように求めた。
●アメリカがパリ協定にコミットし、国際的な二酸化炭素削減目標が設定された。
●オバマケアの拡大により、無保険だった2000万人のアメリカ人が医療を受けられるようになった。
政治的党派心の高まり
2012年の選挙が近づくにつれて、共和党は上下両院で議席を増やし、党派心に基づく対立が目立つようになっていった。それはオバマの正当性への攻撃にもあらわれた。
オバマの出生については、2008年の選挙ではほとんど関心を集めなかったけれど、再選に向けた論戦中には、彼が外国の土地で生まれたから大統領になる資格がないという誤った主張が広まった。
2011年の時点で、共和党支持者の半数近くがこの主張を信じており、これはバーセリズム(出生地差別主義)と名づけられた。
最高裁判所の判事の任命をめぐっても、権力闘争が繰り広げられた。2016年2月に保守派のアントニン=スカリア判事が急死したときには、大統領選挙まで9カ月弱あったにもかかわらず、共和党の上院議員ミッチ=マコーネル(のちの共和党上院院内総務)は、オバマの指名者に対して公聴会を開くことを拒否した。そのため、最高裁判所に1年以上の欠員が生じる事態となった。
ところが、2020年に進歩的立場でカリスマ的な人気を集めたルース=ベイダー=ギンズバーグ判事が、大統領選挙まで2カ月を切った時期に亡くなったときには、同じ共和党の指導者たちは、大統領選挙の投票が始まっていたなかで公聴会を開催し、保守派の判事を承認した。




