Photo:Smith Collection/Gado/gettyimages
運転手もハンドルも存在しないトースター型のタクシーが、米カリフォルニア州サンフランシスコを走り回り、ネバダ州ラスベガスでは有料で乗客を乗せ始めた。
この完全電気自動車(EV)は、ダッシュボードやペダルといった人間が運転するための標準装備がない状態で乗客を乗せる初のロボタクシーだ。前後どちらにも走行可能で、最大4人の乗客が向かい合って座れる。車体の側面の大半が窓で占められている。ズークスと呼ばれるこの車は、ロボタクシー業界に新規参入した米 アマゾン・ドット・コム が手がけた。
アマゾンは、成長を続けるロボタクシー市場の主要プレーヤーになれると確信している。米金融大手 ゴールドマン・サックス は、同市場の売上高が2030年には190億ドル(約3兆円)近くになると予想している(昨年は3億7600万ドル)。
アマゾンの選択はリスクを伴う。米 アルファベット 傘下の同業ウェイモ――初期の市場リーダーで、さまざまな都市で約4000台を運行している――や テスラ は手ごわいライバルだ。テスラは、ハンドルとペダルのないサイバーキャブの量産を開始したが、ズークスと同じ一般向けの運行開始の承認はまだ受けていない。
アマゾン傘下の自動運転開発企業であるズークスは、ゼロから車両を製造するという困難な課題にも取り組んだ。
ズークスのアイシャ・エバンス最高経営責任者(CEO)は、自社で車両を製造することで、乗客の評価に応えて迅速に設計を微調整できたと話す。「従来の常識に逆らって実行するには、多くの想像力や信念、たくましさ、粘り強さが必要だ」とエバンス氏は話した。
米規制当局はこうした新しい乗車サービスに慎重に対応している。米道路交通安全局(NHTSA)は先月、ズークスに対し、今後2年間の期限付きで最大5000台の車両に有料で乗客を乗せることを認めた。ただし、大雨や降雪、大量の落ち葉がある道路や、制限速度が時速45マイル(約72キロメートル)を超える道路での運行は禁止した。
車両の中かズークスのアプリに、NHTSAに苦情を送信できるリンクを案内するメッセージを乗客に提供することも義務付けられている。
ズークスは現在、約100台の車両を保有している。車両の組み立てが行われているカリフォルニア州ヘイワードの工場は、フットボール場3面半の広さがあり、年間生産能力は1万台に上る。広報担当者によると、ズークスの乗車料金は、他の配車サービスの快適オプションとほぼ同水準だという。
乗客からは不安の声も上がった。ラスベガス在住で引退生活を送る元電気技師のメッド・トリミダルさんは、6月にズークスタクシーに乗った際、運転手がいないのが不安だったと話す。だが、数分後にはくつろいでいたという。「SFのようなものを目の当たりにするのはワクワクする経験だった」と話した。







