「銀行」と化すエヌビディア、成長鈍化時のリスク増大Photo:VCG/gettyimages

 米半導体大手エヌビディアの財務基盤は今のところ、控えめに言っても盤石に見える。しかし、売上高の伸びを維持するために同社が用いている金融手法は、いずれ大きな痛みをもたらしかねないリスクを生み出している。

 エヌビディアに数千億ドルの利益をもたらしてきた人工知能(AI)ブームが始まって4年近くたつ中、同社は顧客にチップを買い続けてもらうため、自社の財務力に頼ろうとする姿勢を強めている。これらのチップはAIブームを支える計算処理能力にとって欠かせない製品となっており、エヌビディアはそうした強みを維持しようとしている。

 エヌビディアは最近、リース債務や残存価値契約を巡り、総額で約2300億ドル(約36兆6000億円)に上る可能性のある保証を提供した。これには、オープンAIがオハイオ州で結ぶリース契約に対する1050億ドルの保証や、ウォール街の大手金融機関との融資取引に対する「残存価値サポート」が含まれる。その額は最大で1250億ドルに上る可能性があり、融資の担保資産の価値が事前に定めた水準を下回らないことをエヌビディアが保証するものとみられる。

 エヌビディアはまた、最近になってオーストラリアの新興クラウドコンピューティング企業2社と契約を結び、これらの企業が計算能力の貸出先を見つけられない場合、エヌビディアが「最後の顧客」としての役割を果たすことを約束した。その見返りとして、エヌビディアはこれらの資産から得られる収益のうち、合意された水準を上回る部分について取り分を得る。こうした保証があることで、金融機関は安心してこれらの企業にエヌビディアのチップを購入するための資金を融資することができる。

 これらの保証には、エヌビディアが昨年、コアウィーブから未販売のクラウドコンピューティング能力を買い取ることで合意した63億ドル規模の取引は含まれていない。また、エヌビディアが取得した、保証提供先であるコアウィーブを含む多くのクラウド企業やAI研究機関の株式も含まれていない。同社は直近の2-4月期末時点で、725億ドルに上る上場企業や非上場企業の株式を保有していた。

 エヌビディアは2-4月期末時点で800億ドル超の現金および市場性有価証券をバランスシート上に抱えており、いくつかの大きな影響が生じても容易に吸収できる。また、エヌビディアがリース保証の全額について責任を負う可能性は低く、その保証額は時間の経過とともに減少していく。

 だが、エヌビディアによる金融分野への進出は、今後さらに深まる見通しだ。同社はオーストラリアのクラウドコンピューティング企業2社との取引を「新たなビジネスモデル」と説明しており、今後も金融保証人としての役割を重ねていく可能性を示唆している。また、オープンAIやウォール街の金融機関に対する財務保証は、エヌビディアが他の大規模データセンタープロジェクトに対してもさらなる支援を行うとの期待を生んでいる。