ベストセラー著者で東証プライム上場社長の木下勝寿氏が「マーカー引きまくり! 絶対読むべき一冊」と絶賛する本がある。『スタートアップ芸人』である。この本の著者の森武司氏は、お笑い芸人からニートを経て起業し、11事業で年商146億円、18年連続増収増益の会社をつくり上げた。今回はこの本に強く共感した株式会社アドバンスの品川瑞樹社長が登場。品川氏の採用基準は「いいヤツ」。道端に捨てられた一枚のティッシュで合否を判定するという。一体どういうことか?(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

最高にできる人でも採用してはいけないちょっとした振る舞い・ワースト1Photo: Adobe Stock

採用基準は「いいヤツ」の理由

――スキルも経歴も申し分ないのに、なぜかこの人とは合わない。採用でそう感じた経験のある人は多いです。品川社長は何を基準に選んでいるんですか。

品川瑞樹(以下、品川):うちの基準は「いいヤツ」です。それだけは、ぶらさずに持っています。

――かなり感覚的な基準に聞こえますが。

品川:そうですね。ただ、「いいヤツ」というのは、見る人によっていいヤツにも悪いヤツにもなりますよね。
だからこれは、私や社内のメンバーと価値観や思想が近い、ということだと思っています。私たちが「これがいいよね」「これはダメだよね」と感じる感覚と合うかどうか。当社は2024年に設立してまだ2期を終えたところなので、言語化できていないところも多いんですが、最初は本当にこの感覚だけでした。

「自然に還るからOK」と言われて

――具体的に、価値観が違うと感じるのはどんな場面ですか。

品川:私がよく例に出すのは、ティッシュのゴミの話です。
私は、どんなものであっても道路に捨ててはいけない、と思っています。
ところが友人・知人の中に、ティッシュを道に捨て、「これは自然に還るからOK」と言う人がいたんです。しかも、これまでに3、4人いました。

――一理あるという考え方かもしれませんが。

品川:そうですね。理屈としては成り立つのかもしれません。
でも、そこで私は、この人とは根底から考え方が違うんだな、と感じてしまう。
仕事の能力とはまったく関係のない場面ですが、こういう小さなところでずれている相手とは、一緒に働き続けるのは難しいと思っています。
逆に言えば、能力がすごく高いだけの人を採らないようにしているのも、同じ理由です。

一度採ったら、一生面倒を見るつもり

――なぜそこまで価値観にこだわるんでしょうか。

品川:私は、一度一緒に働くとなったら、一生働きたいと思っているからです。
この人を採用します、雇いますとなったら、一生面倒を見るつもりでいる。
私にできる限りのことは全力でやるつもりです。それだけの覚悟で迎え入れるので、入口では価値観を見ます。

――スキルなら入ってから伸ばせますが、価値観は変わらない、と。

品川:そう思います。スキルは教えられますし、うちには未経験から入って結果を出しているメンバーがたくさんいます。
でも、道端にティッシュを捨てるかどうかは、教えて変わるものではないですよね。

ありがたいことに、最近は関西で「アドバンスさんって若くて頑張っている会社だよね」と評価していただけることが増え、それを聞いて応募してくださる方も増えました。ただ、その中でもやっぱり感覚が合わない人はたくさんいます。

「素の自分」はどこに出る?

――価値観は、どういう場面で見極めればいいんでしょうか。

品川:私は、仕事以外での反応を見るようにしています。
志望動機や実績は、みなさん面接に向けて準備してきますから。街を一緒に歩いたときに何をするか、店員さんにどう接するか。そういうところに、その人が本当に大事にしているものが出ると思っています。

――本書にも「仲間を見極めるシーン」がありましたね。

品川:そうですね。この本には、「面接で人間性を見極める質問」もあります。
誰を入れるかで組織は決まってしまうということを、著者の森社長も身をもって経験されている方なので。採用でスキルばかり見て失敗してきたという方には参考になるかもしれません。