今年最大の時価総額1兆円規模の上場となったサントリー食品インターナショナル。上場により調達した資金の使途に注目が集まる。
──サントリー食品は国内飲料市場では約20%のシェアを握る2位メーカーですが、国内の清涼飲料市場は過当競争にあります。
飲料市場は、人口減の中でも、自然増がまだ見込め、今年も市場全体の出荷量ベースで1~2ポイント伸びることが予想されています。例えば緑茶飲料が全緑茶市場に占めるシェアは20%しかなく、まだ成長余力を残している。上位シェアのメーカーはその分だけ恩恵を被ることができるはずです。
また昨年初年度で900万ケースを売ったオランジーナは1.5リットルなどの大容量をまだ出していない。既存商品の容量のラインアップを増やすなど、まだ成長余地はあります。
シェアの高いカテゴリーの中には、烏龍茶のような成熟市場もありますが、烏龍茶の価値をもう一度理解してもらえるようなリニューアルなども行い、漸減傾向に歯止めをかける取り組みも進めます。
──海外事業はどう伸ばしますか。
奇策はなく、国内と同様にそのエリアごとのお客さまの嗜好に合う商品をお届けしていくのみです。幸い、東南アジアにおいて人口や経済の成長率で清涼飲料の市場として可能性が高いといわれるインドネシア、ベトナム、タイの3カ国にすでに事業基盤を持っています。これらの市場自体はまだ2桁で伸びているので、ここに商品を確実に供給することが先決です。
──長期経営計画で示した売上高2兆円の目標はどのように達成しますか。
まず中期経営計画で掲げた連結売上高で1桁台後半以上の成長を目指す。それだけでは1兆5000億円程度までしか伸びないので、残りは戦略投資が必要という話になるでしょう。