Photo by Yoko Suzuki
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7月3日、サントリーホールディングス(HD)の中核事業会社であるサントリー食品インターナショナルが東証1部に上場した。初値は公募・売り出し価格を上回る3120円。株式時価総額は約9700億円と、食品業界ではキリンHD、アサヒグループHDに次ぐ規模の上場企業が誕生した。
2020年までに現在9922億円の売上高を2兆円に、営業利益率を10%にすることを目標に掲げており、「4000億~5000億円は国内外の戦略投資で上乗せする。売り上げ・利益共に海外主体で稼ぐ」(鳥井信宏・サントリー食品社長)計画だ。
鳥井社長は、現在のサントリーの海外事業比率を飛躍的に押し上げた仏オランジーナ・シュウェップスの買収担当者でもあった。
すでに執行役員に当時のファイナンシャルアドバイザーで元メリルリンチ証券の投資銀行部門長だった稲田晴久氏を迎えたほか「証券業界からM&A部門人材を続々とスカウトしている」(業界関係者)という。
「戦略投資のための資金調達を行う。社長に就任した11年から上場の準備をしてきた」というが、調達した約3000億円の資金を活用したM&A攻勢の行方に早くも注目が集まる。
取り沙汰されているのは、現在強化エリアの一つである東南アジア地域での飲料メーカーだ。オランジーナを擁する欧州セグメントで売上高営業利益率20%を確保しているのに対し、アジアのそれは11%にすぎず、まだ成長余地があるからだ。
東南アジアで積極攻勢か
具体的には今年4月に米ペプシコ社の現地法人に51%の資本参加を行ったベトナム。人口増に伴う経済成長が期待されており、乳業・飲料大手のビナミルクなどの国営企業の株売却が行われることもあり、注目が高い。11年にガルーダ・フード・グループと合弁会社を設立しているインドネシアも同様で、今後現地大手企業を対象にしたM&Aが加速する中、キープレーヤーの一員となることは間違いない。