「この会社、このままで大丈夫だろうか」――仕事ができる人ほど、職場で起きている変化を敏感に見ています。なかでも見過ごせないのが、同じ部署やその周辺から、複数の社員がほぼ同じタイミングで辞めていくことです。単なる偶然に見えても、その裏には、表面化していない組織の問題が隠れていることがあります。では、なぜ「一斉退職」は会社にとって危険なサインなのでしょうか。『3000件の職場の悩みを解決したプロが教える リーダーのふるまい大全』の著者・本田淳也氏が、その理由を解説します。

仕事ができる人が「この会社、危ないな」と感じる瞬間・ワースト1Photo: Adobe Stock

数人が、ほぼ同時に辞める

数人がほぼ同じタイミングで辞める。
これは、職場で見過ごせないサインの一つです。

仕事ができる人が「この会社、危ないな」と感じる瞬間のワースト1
――それが、この一斉退職です。

たまたま時期が重なることもあります。
でも、ある部署やその周辺の複数の社員が、同じタイミングで去る背景には、会社や職場への大きな不満が隠れていることが多い。

しかも、その不満を上司や会社に伝えても「どうせ何も変わらない」と感じ、言わないまま退職を選んでいることもあります。
言葉では伝えなくても、一斉に辞めるという行動で、不満を表しているともいえます。

そこには、社員が声を上げにくい組織の問題があることもあります。

「会社を困らせようとしている」で終わらせない

以前、あるリーダーから一斉退職についてこんな言葉を聞きました。
「一斉に辞めて、会社を困らせようとしているんだ」

この言葉を聞いて、少し驚きました。
正直、会社のプライドなんて従業員には関係ありません。大切なのは、「会社を困らせようとしている」と捉えることではなく、「なぜ、そこまでの状態になったのか」を考えることです。

人間関係なのか、上司への不満なのか、待遇なのか
――原因を調べて改善する。一度目の一斉退職を、組織を立て直すきっかけにすることはできます。

二度目が起きたら、かなり深刻

より深刻なのは、一度目の一斉退職後に原因を十分調べないまま、二度目が起きるケースです。

一度目であれば、会社の対応が後手に回ってしまった可能性もあります。
でも二度目が起きたときは、一度目に辞めた社員たちの不満を十分に受け止めていなかったか、そもそも問題に気づかないまま放置していたことが考えられます。

そして、残っている社員も見ています。
「また何人も辞めた」「前にも同じことがあった」「この会社、本当に大丈夫なのかな」
――こうした疑問が広がれば、次の退職につながっていきます。

退職者ではなく、組織を見る

退職した人を責めても、組織はよくなりません。
「なぜ辞めたのか」を把握し、共通する原因がないかを見ること。
それができる会社とできない会社では、その後に大きな差がつきます。