「最近、すぐ疲れる」「休んでもなかなか体力が戻らない」。そんな悩みを感じたとき、ついその場しのぎの回復だけに目を向けてしまいがちです。しかし、体力は短時間で整える工夫と、時間をかけて土台を育てる習慣の両方があってこそ伸びていきます。散歩や仮眠、食事、睡眠、運動をどう使い分ければいいのか。医師が、無理なく続けられる「短く整えて、長く育てる」体力づくりの考え方を『体力がすべて』から解説する。

体力を伸ばすためには、時間を味方につける
体力は短期間、短時間でも整えることができる。たとえば、散歩や深呼吸、仮眠、水分補給、昼の食べ方の微調整、メールやチャットなどの通知をまとめて処理するといった工夫は、分・時間単位で、その場の体力の状態を立て直すのに役立つ。
ただしこれらは、「いまの体力の出力」を戻すための手段であって、体力の土台を直接大きくする方法ではない。
短期の視点を持ちつつも、体力の土台を、月単位という長期の視点で整えることも大切だ。
体力の土台そのものを広げるには時間がかかる。有酸素運動や筋力トレーニングを軸に、睡眠、食事、環境を整えながら、月単位で少しずつ積み上げていく。
体力の土台を長期で広げる
体の土台を少しずつ広げていくことも重要だ。大切なのは、負荷と回復のサイクルを安定してまわすことである。
負荷は急に上げず、少しずつ調整する。調整した後は、1~2日かけて回復の具合を確かめる。翌朝に強いだるさが残る、動き出しが重い、睡眠が乱れる、余力スコアが下がるといったサインが出るなら、一段階戻して回復を優先する。
●有酸素運動(ゾーン2)
有酸素運動は土台づくりの中心になる。続けられる強さで行い、週150分を目安にする。慣れてきたら、合計時間か強度を少しだけ上げる。強度なら、たとえば速度や傾斜で調整する。
●筋力トレーニング
筋力トレーニングは、基本動作を中心に行う。フォームが崩れない範囲で行い、週2~3回を目安にする。各種目は2~3セット、6~12回行い、「あと1~2回できる」と感じたところで止め、追い込みすぎない。
●高強度の運動
高強度の運動は、基本となるトレーニング、つまり有酸素運動や筋力トレーニングを無理なく続けられていることが前提だ。始めるなら週1回からでよい。睡眠の乱れや疲労のサインが出たら、頻度か強度を落とす。
●食事と睡眠
食事と睡眠は、回復の土台だ。そして、食事は体をつくる材料でもある。たんぱく質は毎食で確保し、光・カフェイン・アルコールなどの夜の刺激を減らして、睡眠を整える。
今日の夕方までもたせたいのか。明日の立ち上がりを整えたいのか。日々のブレを小さくしたいのか。土台を底上げしたいのか。目的がはっきりすれば、取るべき行動は自然と絞られる。
大切なのは、体力を短時間で立て直す工夫と時間をかけて育てる工夫を混同しないことだ。どちらも必要だが、いまどちらを優先するかを決めるだけで、体力の戦略は変わってくるのだ。






