トヨタ自動車の近健太社長写真はイメージです Photo:PIXTA

人手不足を背景に、企業の初任給引き上げが相次いでいる。その一方、ネット上では「仕事を教える先輩より新人の給料が高い」と戸惑う声も目立つ。納得のできない給料の差は働く人の意欲にどう影響するのか。国内調査と海外の実験研究でわかったこととは――。(イトモス研究所所長 小倉健一)

教えている中堅社員より
新人のほうが給料が高いモヤモヤ

「なんで教えている私のほうが給料低いの」

 2025年5月、「お悩み解決掲示板」に、5年以上働く事務職の人から匿名の相談が寄せられた。自分の基本給は18万円。新しく入った10歳若い後輩は21万円だという。同じ部署の事務職で、学歴も同じ。自分の給料は5年間上がらず、後輩に仕事を教えているのも自分だ。

 投稿者のこの言葉に、問題が表れている。仕事を覚え、教える側になった。その自分より、これから仕事を覚える人の給料が高い。経験を積んだ意味を見失う訴えである。

 新人のほうが、給料が高い。ネットの相談欄には、そんな「逆転現象」を嘆く投稿がいくつも見つかる。新しく人を採るための賃上げで、同じ職場で仕事を教える先輩のほうが安く働く。そんな扱いに納得できないという声だ。

広がる「給料逆転」現象
企業の対応は?

 キャリコネニュースが2025年1月に紹介した、千葉県の30代女性からの嘆きがある。本人の年収は350万円。勤務先が給料を見直すと聞いたが、変わったのは新卒社員の給料だけだったという。女性は「新卒の子達よりも低い給料で働いています」と訴えている。

「うちの会社では初任給が上がり?入社何年もたつ戦力になる人よりも右も左も分からない新入社員の方がお給料が高い現象が起きていて納得いきません」(2026年2月19日Yahoo!知恵袋。原文ママ)という相談があった。寄せられたコメントは相談に賛同するもので、大企業にも給料逆転があるという指摘もあった。

 相談者が給料の引き上げを求めると、会社からは急募で早く人を集めたかったからだと説明されたという。新人に基本的な仕事を教えるとき、自分がみじめになると書いている。

 これらに共通するのは、すでに働いている自分より、新しく入った人の給料が高いという不満だ。会社には採用を急ぐ事情がある。働く人には、これまで任されてきた仕事がある。採用の事情を説明するだけでは、自分の仕事への評価を尋ねる社員への答えにならない。

 企業側も、この問題を意識している。