“原子”と初めて呼んだのは、古代ギリシアの哲学者デモクリトスだった。そのアイデアを、近代の科学者であるジョン・ドルトンが受け継ぎ、原子に関する知識は膨らんでいった。科学の発展には研究の共有と検証が欠かせない。その第一歩となるのが、目的や仮説、データを正しく記録する「実験報告」だ。古代のひらめきを真の科学へと育て上げる思考のルールを『アメリカの中学生が学んでいる 14歳からの化学』から解き明かす。

哲学者のイメージPhoto: Adobe Stock

実験報告と結果の評価

科学者にとって重要なのは、同分野のほかの科学者と研究結果を共有することである。
そうすることで、互いの研究結果から学んだり、批評したり、さらにはそれを土台にさらなる研究を進めたりできる。

物質は基本構成部品からできていると最初に唱えた1人は、古代ギリシアの哲学者デモクリトスである。
それを“原子”と初めて呼んだのもデモクリトスだった。

そのデモクリトスのアイデアを取り入れたジョン・ドルトンが、初の現代的な原子モデルを組み立てた。
そしてドルトンが原子に関する研究結果を公表したことが、長い年月にわたるさまざまな科学者による発見につながって、原子に関する知識が膨らんでいった。

発見した事柄を伝える方法は何通りもある。講演をしたり、学術誌に論文を書いたり、会見を開いたりすればいい。発見した事柄を伝えるための第1段階は、実験報告を書くことである。

実験報告の書き方

実験報告はいくつかのパートから構成される。

タイトル:何に関する実験や研究なのかを伝える。

序論(じょろん)・目的:設定した疑問や研究をおこなった理由を簡潔に記す。「どんな疑問に答えを出そうとしているのか?」。「この研究の目的は何か?」。また、以前にも同じテーマに関する研究があれば、それについても触れる。

仮説・予想:実験で何が起こると考えたのか、およびその理由を具体的に記す。

材料・器具:実験を進めるのに必要な材料と器具をすべて列挙する。実験装置を組み立てる上で必要な図表やスケッチを加えても良い。

実験手順:実験中にたどった手順をステップごとにすべて記す。その実験のことをまったく知らない誰かに教えるつもりで書く。できる限り明快に記さなければならない。

ノートを書く人

データ・結果:実験で得られたすべての測定結果や観察結果を簡潔に記す。体系立てた方法で表現しなければならない。グラフや図表、さらには写真を用いるとなお良い。データでもっとも重要なのは、正確さと精密さである。

正確さのイメージ

結論・評価:実験から分かった事柄をまとめて示す。主張・証拠・論法を挙げて、最初に設定した疑問に対する答えを主張し、その主張が証拠によってどのように支持されるかを示す。