困りがちな質問「私のこと覚えてる?」にベストアンサーが出た〈風、薫る第122回〉『風、薫る』第122回より 写真提供:NHK

今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラに関する著書を2冊出版し、毎日レビューを続けて12年めの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は第122回(2026年9月15日放送)「風、薫る」レビューです。(ライター 木俣 冬)

「私のこと覚えてるかしら?」

 看護婦養成学校の卒業写真からはじまる。

 あのとき学んだ気持ちを大事にしようと改めて考えるりん(見上愛)と直美(上坂樹里)。

 ツヤ(東野絢香)を恵風看護婦会に招き、共に働くことに決めた。

 トレインドナースしかいない本格派の看護婦会であることが恵風の売りではある。だが本格派の看護婦とは何かと問えば、しかるべき学校を出たという肩書が最重要ではない。志が大事だ。

 ツヤはバーンズ先生(エマ・ハワード)の掲げる看護婦像を理解している。こういう人たちと仕事をすることをりんたちは選んだのだ。

 ただ、11年も現場を離れているので、最新の医学を学ばないといけない。それはりんたちが教える。そのうえで実習して、心配ないとなったら正式に恵風看護婦会の看護婦として採用する。

 住まいは、セツ(村上穂乃佳)といっしょに、事務所に住めるようにした。

 ここでおもしろいのはしのぶ(木越明)が「私のこと覚えてるかしら?」とツヤに聞くこと。

「もちろんです」と言いながら、「しのぶさんでしょう」と名前は出さない。もしかして忘れているかも? 仮に覚えていたとしても、あんまりいい印象はないのではないだろうか。

 こういう局面は日常よくある。名前が出てこないし、うっすらとしか覚えていない。そんなときは当然、覚えているという体(てい)で名前を出さないようにしてやりすごし、名前が出るチャンスを待つしかない。とりあえず、ニコニコと愛想良くしておくことだ。

 養成学校でのしのぶは、呉服屋の末娘というお嬢様感覚が抜けず、患者にけんか腰になっていた印象だ。恵風看護婦会の初期もそれでトラブルを起こしていた。

 思い返せば、あの頃はみんな若く、未熟で、手探りだった。

 りんもかなり問題児であったのだ。