『風、薫る』第118回より 写真提供:NHK
今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラに関する著書を2冊出版し、毎日レビューを続けて12年めの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は第118回(2026年9月9日放送)「風、薫る」レビューです(ライター 木俣 冬)
環の空白の時間
亀吉「俺はーこの子の父親だ」
直美「私は環の母親なので」
環(瀧七海)の父・亀吉(三浦貴大)が訪ねて来た。だが、直美(上坂樹里)は警戒し、環から亀吉を遠ざけようとする。
父だから接してもいいだろうと主張する亀吉。母代わりだから危険な人物から守ろうとする直美。だが、亀吉には、直美がもうひとりの母として環を慈しんできたことがわかるわけもない。噛み合わないやりとりがおもしろい。
それにしても亀吉はいまさら何のためにりん(見上愛)や環に会いに来たのだろう。環の祖母で、亀吉の母である貞(根岸季衣)の書いた環への手紙を渡しに来たのだった。寝たきりになってから、急に環のことを思い出して書いたもの。
「これだけは渡さねえと」と環に手渡して去っていく。
封筒には「たまき」とたどたどしい文字で書いてある。手紙の中身も、たどたどしいにもほどがある乱れた文字。書き慣れないのと、寝たきりで身体が弱って手を動かしづらいのかもしれない。でも一生懸命なのはわかる。締めの「しあわせになることをいのっておりまする」の「おりまする」が染みた。
手紙をきっかけにこれまでまったく考えてこなかったことを環は考えはじめる。
「こんな手紙、初めて。なんだか不思議な気持ち。お父さんもおばあさまも私のことなんか忘れてると思ってたから」
「なんでお母さん、お父さんとお別れしたんだろう」
「私、お母さんのことあんまり知らないのかも。自分のことも」
環の空白の時間はどれだけ? 環が東京に出てきたのは3歳のとき。目下女学校卒業間近で16、17歳くらい。つまり空白期間は13、14年ほどと考えられる。







