困りがちな質問「私のこと覚えてる?」にベストアンサーが出た〈風、薫る第122回〉

「努力する人には弱くてね」

 りんは当時、看護婦取締を任されたものの、生徒を2人も辞めさせてしまったことを、いまも引きずっていた。

 それで今回、ツヤを担当する自信がない。直美はそれを理解して自分が教えることにする。

 珍しく難しげな医学用語が飛び交う。これまで24週間放送してきて、看護婦の話という触れ込みであったが、あまり医学の専門的な話は描かれなかった。そういうのを中心にすると視聴者を狭めると思ってのことだったのかもしれない。

 そして、難しいことにも、ツヤは食らいついていっている。

 字もスラスラ書けるようになっている。

「本当に努力したんですね」と直美。

 小学校で習う漢字を覚えるのに半年かけたそうだ。

 虎太郎(小林虎之介)も、ツヤに親切に薬のことを教える。

「努力する人に弱くてね」

 虎太郎とツヤは身分制度の犠牲になりそうになりながら、努力でここまでになった者たちである。

「なんだかコタロー、大人になったなあ」としみじみするりんに、「でも大人になってから、もうだいぶたつよ」と虎太郎は答える。

「日にち薬」という言葉を、ツヤや虎太郎を見て思い出した。心身のしんどい不調もときがたてば、すこし楽になる。たしか「半分、青い。」(2018年度前期)で使用されたと記憶する。妻を失くし悲しみに暮れる人物に、ナレーションが「日にち薬だよ」と語りかけた。これはあくまで当事者の気の持ちようであり、医学的根拠があるわけではない。

 ツヤは、文字が書けない分、看護の勉強に遅れをとったが、コツコツと勉強を続けたことで、11年めには最新医学を学べるくらいのベースを固めることができたのだ。

 虎太郎も、農家の出ながら、東京で身を立てた。戦争でいっとき、自分の生き方に疑問を感じたが、いまは立ち直ったようだ。

 最終回も近いので、皆のこれまでの長い時間に価値があることを描いている。

 それにしても虎太郎、いまだに独り身なのだろうか。