自由すぎると、むしろ苦しい…その理由にハッとした〈風、薫る第119回〉『風、薫る』第119回より 写真提供:NHK

今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラに関する著書を2冊出版し、毎日レビューを続けて12年めの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は第119回(2026年9月10日放送)「風、薫る」レビューです(ライター 木俣 冬)

贅沢な悩み

 今日も、亀吉(三浦貴大)がいい味を出している。環(瀧七海)が、置き手紙を残して家を出た。

「どうしよう、環が出ていっちゃったみたい」と動揺するりん(見上愛)に、「ちょっと落ち着いて。行く場所まで丁寧に書いてあるんだから、そんなに騒ぐことないでしょ」と直美(上坂樹里)は冷静。

 さらに、そこに亀吉がひょっこり顔を出す。

「書き置きして家出け。育ちが良すぎんな」

 お呼びでない雰囲気に、「悪いな何のさわぎかって?つい」と言い訳すると、鐘の音が虚しくごーんと鳴る。そして、主題歌。

 何、この流れ。亀吉登場のおかげで、がぜん、ユーモラスな雰囲気になった。こういうシーンは代わる代わる登場してきた芸人ゲストが担うところを、ザッツ俳優の三浦が引き受けているのがすばらしい。

 主題歌明け。りんと亀吉がついに再会する。

「ごぶさた、しております」「おう」と言葉少なな元夫婦。

「お恥ずかしい限りです」と言うりんに、「ホントだな。女学校がなんだ。結局、環を悩ませただけだべ。だから、女は嫁ぐのが一番なんだ」

 前半は鋭い指摘。後半は相変わらずちょっと偏見あり。

 亀吉はなおも舌鋒鋭い指摘をやめない。

「親子そろって何だ、その顔。ああやって贅沢に悩ませるのがおめえの望みだったんじゃねーのけ?」

 これは視聴者の思ってきたことの代弁であろう。おそらく書き手もわかって書いているのではないだろうか。

 学校に行くことで進路の悩みが生まれる。学校に行けない者たちは、セツ(村上穂乃佳)のように悩む余裕などなく、毎日の糧や寝る場所を得るためにいまやれることをやるしかないのだ。