あなたの任務はズバリ「相手の気持ちを静めること」です。ところが、相手は完全に「お金を払う側=高いステイタス、払ってもらう側=低いステイタス」という意識が頭にあります。謝罪されて当たり前、こちらが冷静に説明しようとしても、それだけでは誠意がないと反発されてしまう恐れがあります。

 近年では、クレームを通り越した「カスタマー・ハラスメント(カスハラ)」が社会問題になっています。もちろん、暴力的な言動や脅迫がある場合は即座に警察に対応を求めるべきです。とはいえ、可能な限り冷静に場を収めたいと思うのが現場の本音だと思います。

 そんなとき、ぜひ覚えておいてほしいのが、私が「ステイタスの磁石の法則」と呼んでいるテクニックです。

正論で説得しようとするほど
相手は張り合ってくる

 人は相手のステイタスに引っ張られてしまう、またはつられてしまう傾向があります。つまり相手が強く出れば自分も同様に強く出たくなるし、弱く出れば弱く出たくなってしまうのです。

 仮に相手が理不尽なことでクレームをつけてきたとして、それを論理的に諭そうとしても良い結果にはつながりません。

 あなたが正論を言って冷静に説得しようとすればするほど、相手には「高いステイタス」に見えてしまい、余計に張り合おうという気持ちにさせてしまいます。たとえあなたが正しいことを話したとしても、相手の怒りは収まるどころか、ますます燃え上がってしまうのです。

 では、どういう態度で接するのが得策なのか?

 このようなときは、徹底して「低いステイタス」で振る舞うことです。

 まずは相手に思う存分話をさせて、すべてを聞くようにします。言いたいことを全部言わせてください。同じ話を何度繰り返してもさえぎってはいけません。

 こちらがすべきことは、ただ黙ってゆっくりうなずきながら聞くことです。

 相手の発言をさえぎらない、ゆっくりリアクションする――。

 これだけで感情の放出を促すことができます。