(2)公然性があるか

 次に問題になるのが、公然性です。名誉毀損罪は、不特定または多数の人が知り得る状態で成立します。ここで多くの人は、「グループチャットだから大丈夫」「社内だけだから大丈夫」と、誤解します。しかし、チャットは簡単に転送できます。スクリーンショットも撮れます。そのため、参加者が多かったり、情報が外へ広がる可能性が高かったりする場合には、公然性が認められる可能性があります。「内輪だから安全」とは言い切れないのです。

(3)社会的評価を下げる内容か

 最後に、その発言が相手の社会的評価を下げる内容だったかが問われます。会社員にとって、「横領している」「取引先と癒着している」といった話は、信用を大きく傷つける可能性があるため、こうした内容が事実として語られれば、名誉毀損の問題になり得ます。

 さらに注意したいのは、名誉毀損は内容がたとえ真実であったとしても、成立する場合があるということです。なぜなら、法律が守っているのは事実そのものではなく、その人の社会的評価だからです。

 つまり、

(1)事実を語り
(2)他人へ伝わる可能性があり
(3)相手の評価を下げる内容だった

 この3つがそろうと、チャットの中だけの発言であっても名誉毀損の罪に問われる可能性が生まれるのです。

チャットに書いた言葉は
記録として残り続ける

 まず大前提として、同僚や取引先に関する「具体的な事実」は、チャットに書かないことです。たとえ語尾に「らしい」「聞いた」を付けたとしても変わりません。裏付けのない噂を広げれば、その時点で責任が生まれる可能性があります。

 次に意識してほしいのが、グループチャットは閉じた空間ではないということです。「このメンバーなら大丈夫」は人間関係の話であって、リスク管理の話ではありません。

 そしてもう1つ注意したいのが、感情です。怒っている。酔っている。誰かに共感してほしい。そうした瞬間ほど、人は普段なら書かないようなことを書いてしまいます。

 だから、自分なりのルールを持ちましょう。

・事実っぽい話は書かない
・個人が特定できる話は書かない
・評価を下げる話は書かない

 迷ったら、「この文章は、会議室のスクリーンに映されても平気か」と、考えてみてください。もし少しでも躊躇するなら、送らないほうがいいでしょう。