習近平はなぜ出入国を厳格化?中国AI好調の裏で「人民の不満」が消えないワケPhoto:Anadolu/gettyimages

中国の習近平国家主席はAIで世界の覇権を握り、政治権力を強固にすることを最重要視しているようだ。不動産バブル崩壊やEVの低迷で、中国経済の光と影が浮き彫りになっている。「人民の不満」が向かう、日本への影響とは。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

中国・国家主席「4期続投」目指し
権力強化しか頭にない習近平

 現時点では、2027年秋の中国共産党第21回党大会で、習近平国家主席の「4期目」入りがほぼ確実視されている。「習氏は生涯、中国のトップの地位にいるつもりだ」との指摘もある。これまで徹底して、軍幹部の粛清や、不要な人物を排除してきた。当面、習氏のライバルは現れそうもない。

 習氏は最近、「中国製のAI(人工知能)を世界の公共財にしよう」と呼びかけている。米国に負けじとAI開発競争を急ぎ、中国製AIをグローバルサウスなど新興・途上国に供給することで、AI時代の世界トップの座を確実にすることを考えているのだろう。

 一方で、中国の景気が本格回復する気配はまだ見られない。AIや半導体、半導体製造装置などの分野は業績好調だが、不動産や小売り、EV(電気自動車)、車載用バッテリー、家電などの分野では生産能力の過剰さが際立ち、雇用・所得環境も厳しい。16~24歳の若年層失業率は18%前後と高止まりしている。

 そうした影の部分ともいうべき、経済や雇用の問題は解決の糸口が見えてこない。なぜなら、国のリーダーの考え方が、自身の政治基盤の強化に集中しているからだ。

 最も心配なのは、経済・社会の先行きに明るさが見えないと、「人民の不満がどこに向かうのか」である。わが国で働く中国の若者の中には、母国に希望が持てず、日本に永住したいと思う人が多いのは、そういった背景もある。

 一部では、73歳になった習氏に健康不安説も指摘されている。そうした中でも習氏が権力基盤の強化を最重要視した政策が続くことで、いったい何が起きるのか。わが国にはどんな影響があるのか。