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昨年からの訪日自粛で中国人観光客は大幅に減った。習近平政権の規制強化で9月以降はさらに減ることが予想される。とはいえ日本の観光業に与える影響は、ほぼノーダメージ、むしろ中国側のダメージは長期化するのではないか。中国側の旅行会社と航空会社の損失額を試算し、沖縄や北海道での事例を紹介しながら解説する。(ライター 前林広樹)
習近平政権が中国民に対して
海外への出国規制を強化
中国政府は「出入国管理規定(国務院令第841号)」を公布し、先端産業従事者を対象に、問題があると見なせば出国を禁止する可能性を盛り込んだ。9月15日に施行される。
実は、すでに2024年から教師や公務員、銀行員など公的機関に勤める人材や国有企業の従業員は、職場からパスポートの提出を要求されるなど海外旅行を自由に楽しめない人が増えていた。今般の出国規制は共産党員や公務員だけでなく、民間企業に勤める人にも適用される。
海外報道によると、26年第2四半期における中国人の海外旅行者は、不動産不況などに伴い想定よりも約3%少ない、約1億7900万人にとどまったという。出国規制が強化されることで、さらに減る可能性が高い。
中国人インバウンド減の経済損失
報道に矛盾が見られるワケ
周知のとおり昨年11月、中国政府は「日本旅行の自粛」を自国民に呼び掛けた。その直後は、例えば日本の大手シンクタンクさえ「これが続けば1年間の経済損失は1.79兆円、GDPを0.29%押し下げる」などと試算していた。「爆買い」という言葉があるように、中国人インバウンドの消費効果は大きく、それに冷や水を浴びせる悪影響が懸念されていたのだ。
しかし、それから実際に約9カ月が経過した今、日本側は「ほぼノーダメージ」といっても過言ではないだろう。
その説明を詳しくする前に、中国側の報道を読むと、違和感を覚えた内容が多いので取り上げたい。
例えば中国共産党の機関紙である『人民網』(ウェブ版、7月28日)によると、「2025年末に京都のホテルが大幅に値下げになった」「大阪のジュエリー店の売り上げが大幅に減少した」「高市首相の台湾問題を発端とした中国人観光客の減少により日本の観光業が苦境に陥っている」と紹介している。
他にも、「日本は中国人観光客なしでは持ちこたえられない」といった中国メディアの主張が目立つ。一例として、「日本の5月の国際収支は、訪日客急減の影響を受け、サービス収支が黒字から一転し103億円の赤字となった。これは隠しようのない亀裂である」などと書かれた記事もあった。
しかし、訪日外国人観光客の旅行消費額は、1~3月は2兆3378億円で前年同期比2.5%増、4~6月期は2兆5096億円で同0.2%増。中国人の消費額は減っても、他国からの消費額が増えたことで、むしろ全体的には増えている。
また、訪日外国人観光客数は1月〜7月累計は2452万7200人で同1.7%減だが、これは中国人の減少だけでなくイラン情勢悪化による航空便減少の影響も考えられる。実際、直近の7月単月では同0.1%増で7月として過去最高を記録し、堅調に回復している流れがある。
こうしてファクトを確認すると、中国メディアの主張は矛盾しているというか、間違っているとすら思う。訪日消費は落ち込んでおらず、中国人客減少=日本のインバウンド市場全体がダメージを受けてはいない。
むしろ、訪日自粛によって中国側もある程度の経済損失を出していると筆者は考えている。一体どういうことか、独自に試算してみると衝撃的な数字が出た。







