「日本の新幹線なら中国製に勝てる」と言う人が知らない現実…オーストラリア高速鉄道「大赤字リスク」の正体オーストラリア高速鉄道専用サイトより

オーストラリア高速鉄道の計画が持ち上がる中、「日本の新幹線方式が活躍すべきだ」と思う人も多いかもしれない。しかし現地では採算性に疑問の声が根強い。日本が世界に誇る東海道・山陽新幹線の強みを、中国、韓国、台湾の高速鉄道と比較し、オーストラリアの移動需要を分析。苦戦しそうな本当の理由に迫る。(ライター 前林広樹)

どうしたら高速鉄道うまくいく?
豪日中韓台の比較図解で一目瞭然!

 前編記事『オーストラリア高速鉄道で「日本の新幹線」待望論が高まるワケ』では、オーストラリアで高速鉄道の建設計画が動き始めたこと、日本の新幹線方式が採用されることへの期待、海上自衛隊の護衛艦「もがみ」を軸に両国が防衛産業で協力を深めていることについて取り上げた。

 東南アジア各国の高速鉄道については、中国主導で相次いで建設されるも失敗の様相を呈していることから、「ほらやっぱり中国はダメだ。日本の新幹線を採用すればよかったのに」「オーストラリアでこそ、日本の新幹線方式が活躍すべきだ」と思う人も多いかもしれない。

 しかし、それは早合点だ。同地に高速鉄道を敷く話は1980年代から立ち上がっては消えた経緯があり、現地ではいまだに懐疑論も根強い。

 特に注意すべきが、多額の建設費である。第1段階のシドニー~ニューカッスル間は地形が複雑で、トンネルの距離が100km前後と全区間約190kmの多くを占めるという。そのため建設費用は612億豪州ドル(日本円で約6兆8200億円)にも上る。

 プロジェクトの財政面においては、建設の初期投資だけでなく開業後の運営費も政府の補填が続くことが懸念されていて、こうした手法に不慣れなオーストラリア政府に疑問を呈する国民の声は根強い。

 そもそも第1段階路線は、高速鉄道にしては短すぎる距離である。シドニー~ニューカッスル間は、日本でいえば東京~静岡間程度の距離でしかない。これなら在来線の高速化でも十分な距離といえる。

 続く第2段階以降のシドニー~メルボルン(約878km)、シドニー~ブリスベン(約907km)まで全通すれば距離自体はかなり長くなるが、ここで別の問題点が発生する。