中国政府が出入国管理令を
強化した真の狙いは?
そのため今後、中国の不動産や地方政府、不良債権問題はさらに深刻化するのではないか。過剰な生産能力を抱える大手の国有企業については、統合などを考えているようだが、本格的なリストラには踏み込まない可能性が高い。世界的に長期金利の上昇が鮮明になる中、中国の債務リスクは上昇することが懸念される。
その結果、何が起きるかというと社会心理の悪化が予想される。中国の戸籍は、都市と農村とで分かれている。医療や年金など、社会保障の受給資格も戸籍にひも付いている。中国では基本的に、生まれた場所で、受給できる社会的なベネフィットが固定化されている。そのため都市と農村との格差は大きく拡大している。
地方政府は年金や医療制度を管轄する。不動産バブル崩壊による土地譲渡益の減少は、地方政府の財政悪化や社会保障不安に直結する。
景気の低迷に伴って、中国経済や自らの境遇に不満や不安を抱く人民は増加するだろう。内陸部の農村などで人々が生活環境の改善を求める動きが活発化することも想定される。
習氏が権力基盤の強化を最重要視した政策を続ければ、中国経済の成長力は減殺されることが予想される。それを受けて、中国から海外に脱出するヒト、モノ、カネが増加することが懸念される。中国政府は、その動きを阻止するために、出入国管理令を強化したともみられる。
9月15日に「出入国管理に関する国務院規定」を施行した背景には、中国経済の光と影、習氏が自らの権力基盤を最重要視する姿勢が見て取れる。








