完璧を求めて妥協ができない。中途半端なものを出して「できない奴だ」と思われたくない。「先のばし」や「完璧主義」を脱するための方法を、『おい、とりあえず終わらせろ』を書いたエンジニアのnwiizo(ぬうぃぞう)氏が伝えます。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

おい、とりあえず終わらせろPhoto: Adobe Stock

場当たり的な改善は「言葉の裏」を読むことで防げる

 以前、部長に「もっとデータを」と言われて、その通りグラフを5枚追加したことがありました。

 なのに翌週、部長はそのグラフを1枚も使わなかった。

 後から知ったのが、部長が欲しかったのはグラフではなかったということ。

 求められていたのは、役員会で質問されたときに答えられる安心感でした。部長も次の人に説明する立場にいたのです。

 大事なのは、言葉の表面だけを追わないことです。

 なぜなら、フィードバックは表面の指示ではなく、相手の背景とセットで受け取るものだから。

「もっと具体例を入れて」と言われたとき、それは単に具体例が足りないだけじゃない。「上層の意思決定者が背景を知らない」「部署外にも展開される」といった事情が潜んでいるかもしれません。

 だからフィードバックを受けたとき、最初に問うべきは「それは誰にとっての問題なのか」だ。

言われた通りにやるな、言われた理由を考えろ

 たとえば、「この報告書、もう少し整理して」と言われた場面。

 すぐに構成をいじり始めるのではなく、「これ、誰に説明する資料ですか」と聞く。

 すると相手の表情が一瞬止まって、「ああ、来週の役員報告で使いたいんだ」と返ってきました。

 その一言で、直すべき場所が変わった。肩に入っていた力がすっと抜けて、「それなら数字の見せ方だけ変えましょう」と自分から提案できた。

 問いをひとつ挟むだけで、アウトプットの方向がまるごと定まったのです。

 相手が言う「リスクを明記して」の裏には「聞いていなかった」と言われたくない恐れがあり、「もう少し短くして」の裏には会議時間15分という制約があるかもしれません。

「もっと詳しく」と言われたとき、それは情報量の問題ではなく、「うちの業界を本当に理解しているか確かめたい」という意味かもしれない。

 言葉の裏に何があるかを想像する。それだけで、「なぜその要望が出たのか」が見えてきます。

 本当の問題は別にある。それは、「数字の傾向が一目でわからない」かもしれない。「前回の資料と比較できない」かもしれない。「そもそも何が言いたいのか伝わっていない」かもしれない。

 飛びつきたくなるのは、考えずに手を動かす方が楽だからです。判断しなくていいし、少なくとも「言われたことはやった」と言えます。

 ですが、それではどちらにとっても不幸になる。