「そう来たか!」ラスト5分で印象が変わる、まさかの最終回〈風、薫る第130回・最終回〉

りんのモデルはリウマチを患っていた。
原案を解体し再構築する工夫

 りんのモデルの大関和は1908年に『実地看護法』を上梓している。大関がこの本を書いたのは、日露戦争の後、持病の関節リウマチの合併症の心臓弁膜症を発して療養していたときだったと、ドラマの原案である『明治のナイチンゲール 大関和物語』(田中ひかる著)にはある。

 ここで注目したいのは、りんのモデルの人物は年をとってから関節リウマチに苦しんでいたことである。
ドラマではりんが看護する佳枝(相田翔子)をリウマチ患者に置き換えた。

 実在の人物・大関のリウマチとの格闘と不屈の精神を、彼女をモデルにしたりんが見守るように描いているところがこのドラマのおもしろさのひとつであろう。

 例えば、りんだけを主人公にしたら、リウマチを患いながらも執筆し、看護に尽力しようとする女性の一生を描ききることができたかもしれない。だが今回はふたりの女性を主人公にし、それぞれの人生を描いているため、ひとりの女性の膨大な人生を描ききる尺が足りない。そのための工夫だと考えらえる。これは原案をどう解体し再構築するかの一例になるだろう。

 朝ドラの主人公としては、バーンズ先生に教わった栄えあるトレインドナース一期生のひとり・多江(生田絵梨花)も、場合によっては主人公になりえたように思う。

 多江は、出番は少なかったが、着実に看護婦の道を歩む、安心の存在であった。りんと直美が危なっかしい分、彼女の言動がある種の指針になっていたように思う。

 もともと、医者の娘で、看護婦を目指し、結婚よりも仕事を選び、婦長にまで上り詰め、制度改革を着々と進めた。戦争のときは自ら進んで戦争にいった軍人を診る病院に志願した。

 一昔前だったら、多江のようなキャラクターが朝ドラの主人公をやっていたかもしれない。

 最終回、出版祝いにりんたちのもとを訪れた多江は、帝都医大病院の看護婦の賃上げに成功していた。

「これで看護で生きていく女の人たちがきっと増える」
「まだまだ頑張りますよ」と同期で語り合う。