電通不在より深刻な
「本当の原因」とは

 もう忘れている人も多いだろうが、大規模国際イベント運営に慣れているという電通がガッツリ関わった東京五輪・パラリンピックもトラブル多発、アジア大会以上に世界に恥をさらした。

 公式エンブレムの盗作疑惑が起きて白紙撤回、開会式に関わったアーティストやお笑い芸人の過去の言動が問題になり辞任や解任が続くなど混乱を極めた。

 大会運営に慣れている電通など複数社が「談合」をしていたことが発覚。大会組織委員会の理事だった元電通幹部は、オリパラの大会スポンサーだったAOKIホールディングスから計5100万円の賄賂を受け取ったなどとして、受託収賄罪で起訴された。このアマチュアスポーツを食い物にした不祥事は、世界でも大きく報じられている。

 つまり、電通が仕切ればイベント大成功というのは、なんの根拠もない「希望的観測」のようなものに過ぎないのである。

 だったら、アジア大会がここまでひどいことになってしまった原因は何か。個人的には「日本の国力衰退」に尽きると思っている。

 アジア大会の予算は当初1000億円ほどだったが、資材や人件費の高騰などで3.5倍以上の、約3700億円まで増加した。これによって愛知県と名古屋市の財政は悪化。愛知県は県の貯金にあたる「財政調整基金」などを切り崩している(2月11日 朝日新聞)。

 その厳しい台所事情を象徴するのが、大会組織委員会の会長を務める大村秀章愛知県知事の「ギブアップ宣言」だ。

 アジア大会開催前、参加選手や役員の総人数が当初予定していた最大1万5000人から、1万6000〜7000人に膨らむ見通しとなった。パデルとテックボールといった新競技が次々に追加されたからだ。

 大会の肥大化を受けて、大村知事は記者会見でこんなことを述べた。

「予算は1万5000人分しか用意しておらず、それ以上は支払えない」(8月25日 産経新聞) 
 
 つまり、不測の事態に対応する余裕もないほど、予算的にカツカツなのだ。こういうイベントの現場は大混乱になるのが常だ。