「死」について数字や歴史を通して眺めれば、その見え方は大きく変わる。出口治明氏が、2500年前から伝わる仏教説話も手がかりに、死への不安と向き合うための「ファクト」の力を語る。※本稿は、実業家・教育者の出口治明『老いと死をファクトで考えてみた』(扶桑社新書)の一部を抜粋・編集したものです。
皇帝、聖人、大富豪
例外なく死を迎えた
厚生労働省の発表する「2025年人口動態統計月報年計(概数)」によれば、日本での1年間の死亡数は158万9489人です。1日あたりに直せば、約4300人。1時間に約180人。
出口治明さん(2015年撮影) Photo:JIJI
あなたがこのページを読み始めてから今までのあいだにも、日本のどこかで、何人もの人が息を引き取っています。世界に目を広げれば、年間の死者はおよそ6000万人。毎日、およそ16万人です。
この数字を、どう受け取りますか。
僕の受け取り方は、こうです。死というのは、めったに起きない特別な事件ではない。毎日、大量に、当たり前に起きている、世界でいちばんありふれた出来事である。
有史以来、この地球上に生まれた人間は、推計でおよそ1000億人を超えると言われます。そのうち、死ななかった人は、何人いるでしょうか。
ゼロです。皇帝も、聖人も、大富豪も、不老不死を求めた仙人も、例外なく死にました。打率で言えば、10割です。これほど確実に全員に起きることを、「まさか自分に起きるとは」という顔で迎えるのは、考えてみれば、少しおかしな話ではないでしょうか。







