出口治明さん近影 画像:扶桑社
成功者の体験談を参考にする人は少なくない。しかし、それは本当に自分にも当てはまる「法則」なのだろうか。出口治明氏が、人生を大きく左右する「運」と、成功談との付き合い方について説く。※本稿は、実業家・教育者の出口治明『老いと死をファクトで考えてみた』(扶桑社新書)の一部を抜粋・編集したものです。
英雄と敗残者を
分けるものとは
あなたの会社の同期たちの顔を思い浮かべてください。入社のときは、横一線だったはずです。30年後、役員になった者、子会社へ移った者、途中で辞めた者などに分かれていくのではないでしょうか。
その差は、まるごと実力の差だったでしょうか。配属された部署、最初に仕えた上司、担った事業が伸びたか縮んだか、不況の波がいつ来たか。
一つひとつは小さな偶然が、30年かけて雪だるまのようになった結果ではないでしょうか。むろん本人の働きもあります。けれども、同じだけ働いても、配られた偶然が違えば、行き着く席は違っていたはずです。あなたが遠慮なく誇っていい成功も、必要以上に恥じなくていい不遇も、思うより多くの部分は、偶然が転がって膨らんだものなのです。
英雄と敗残者を分けるものは、本人が思うほど、本人の中にはありません。時代とうまくかみ合ったかどうか。そして、後の世で誰がその評価を書いたか。
つまり、運と、記録の綾が、大部分を決めている。これが、人類の歴史から僕が受け取ってきた、大切な事実です。







