順風満帆に見えた会社員人生でも、ある日突然「寒流」に入ることがある。肩書や仕事を失ったとき、過去を恨み続けるのか、それとも目の前の時間を使うのか。長い不遇を経験した出口治明氏が、自らを支えた考え方を明かす。※本稿は、実業家・教育者の出口治明『老いと死をファクトで考えてみた』(扶桑社新書)の一部を抜粋・編集したものです。
その言葉がなかった時代に
「少子高齢化」を見据えた
僕自身が人生最大の寒流に遭遇した原因。その火種は、意外に思われるかもしれませんが、とある数字でした。
出口治明さん(2015年撮影、当時はライフネット生命保険のCEO) Photo:JIJI
当時の僕は、日本生命で国際業務を預かる部長職にありました。同期では一人でした。40代前半をロンドンで過ごし、ヨーロッパの会社の仕事ぶりを間近で見てきた後のことです。仕事は面白く、水は文句なしに温かかった。部下は250人いたのです。
その頃、僕はある数字を眺めていました。日本の人口です。
少子高齢化という言葉は、いまでこそ誰もが口にしますが、当時、それを自社の商売に関連する話として見ている人は多くありませんでした。
しかし、数字は正直です。人が減れば、保険に入る人が減ります。同時に、保険を売り歩く担い手も減っていく。この2つを掛け合わせれば、国内市場だけを市場にしている以上、日本生命が世界最大の生命保険会社という地位を保ち続けることは難しい。それが、掛け算と引き算で出た答えです。
答えが出れば、次にやることは1つです。外に出るしかありません。







