グルテンの粘りを利用してそば粉をつなぐ、もっとも一般的な方法で、水と結合したグルテンが網目状のタンパク質ネットワークを形成し、そば粉の粒子を包み込んで麺としてのまとまりを与えます。
土地ごとのつなぎの違いが
そばの味に反映されている
第二は植物繊維です。
信州北部(飯山地方など)では古くから「オヤマボクチ」、地方名「ヤマゴボウ」と呼ばれるアザミの仲間の繊維が使われ、新潟ではアザミの繊維も利用されてきました。
山に自生する葉を晩秋に採取し、煮て繊維を取り出し、乾燥させてそば粉に混ぜ込みます。手間はかかりますが、この繊維でつないだそばは、小麦粉とは異なる食感になります。しなやかでありながらしっかりとした噛みごたえがあり、そばの風味がまっすぐに伝わります。
『ビジネスエリートのための 教養としての蕎麦』(井上直人、あさ出版)
さらに新潟では、「へぎ蕎麦」に見られるように、布海苔(ふのり)という海藻の粘りがつなぎとして用いられます。繊維を抽出する過程で香りが飛ぶため、つなぎとしての機能を果たしながら、そばの風味を邪魔しないというバランスが生まれます。布海苔によってツルツルとした食感が生まれるのも特徴です。
第三はデンプン糊です。
そば粉や小麦粉を熱湯で糊状にしたものをつなぎにする、「ともつなぎ」という技法で、デンプンの糊化によって接着の役割を果たします。そば粉の一部を熱湯で糊にし、残りの粉に混ぜ込むことで、追加の材料を使わずにつなげます。十割そばや更級そばのなかには、この方法を用いる店もあります。
つまり、つなぎの種類は、その土地で手に入る素材によって決まるのです。
山間部では山の植物、海沿いでは海藻、平野部ではコムギ。地域の自然環境がそのままそばの味に反映されているのです。







