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「ズズッ」と音を立てて蕎麦をすする……日本人にはおなじみの食べ方だが、海外ではマナー違反とする文化もある。外国人から「なぜ日本では蕎麦をすするの?」と聞かれたら、どう答えるだろうか。実は、蕎麦にはきちんとしたすするべき理由があるという。知れば蕎麦がもっとおいしくなる、食べ方の極意とは。※本稿は、信州大学名誉教授の井上直人『ビジネスエリートのための 教養としての蕎麦』(あさ出版)の一部を抜粋・編集したものです。
蕎麦のおいしさを引き出す
最初のひと口
そばが運ばれてきたら、まずそばだけに塩を少しつけてひとくち食べてください。
これはそばを味わうための基本です。
最初のひとくちはそばの「素顔」を知るためのものです。甘みがあるか、香りは強いか、食感はどうか。この最初の印象が、品種と産地の個性を教えてくれます。
塩はそばの風味を際立たせる効果があります。つゆの味に隠れてしまう微妙な甘みや香りが、塩ひとつまみで鮮やかに浮かび上がる。塩で食べることは、本当の日本の食の考え方の背後にあるものかもしれません。素材そのものの味を尊重し、余計なものを足さない。この姿勢は、和食の根幹にある思想と通じています。
刺身を塩で食べる人がいるように、そばを塩で食べるのは「素材をそのまま味わう」という日本の食文化の本質的な部分です。
もちろん、これはあくまで「味わい方のひとつ」であって、つゆで食べるのが悪いわけではありません。
まずは何もつけず、次に塩でそば本来の味を知り、さらにつゆで味の変化を楽しむ。
この三段階の味わい方を知っているだけで、そばの楽しみは倍になります。







