日本で商社や外資系を渡り歩いてキャリアアップを重ねていた日本人の知人が、日本に進出するスウェーデン企業の支社長のポジションに応募した時のことだ。彼を含めた数人が最終面接でスウェーデン本社に呼ばれた。
その時「何かアドバイスがあれば教えてください」と頼まれ、私はこう答えた。
「最終面接に残った方々は全員すでに、能力的にこのポジションにふさわしいと判断された方々なのでしょう。ですが、あなたは普段からご家族との時間を大切にしているのだから、帰宅後や週末はお子さんとこんなことをしている、あんなことをしているというのをさりげなくアピールしてみてください」
そして彼は初代支社長に選ばれた。
面接でアドバイスが役に立ったのかどうかはわかりようがないが、私があのようなアドバイスをしたのには理由がある。
もしも「プライベートを投げ打ってでも会社のために身を粉にして働きます」というアピールをしてしまったら、スウェーデンの経営陣は確実にその人を選ばないと思ったのだ。
誰もそんな考え方の同僚とは一緒に働きたくないし、支社長としてこれから多くの社員を採用し、育て、一緒に働くことを考えると、適役ではないと思われるだろう。
家族がいるのに家族を大切にできていないなら、社員のことも大切にできない。彼はその後、多くの若手を育てて日本支社を大きく成長させ、ご家族とは様々な思い出を一緒につくっている。
育児休業の取得が
会社で「プラス評価」に
スウェーデンの大手銀行勤務の佐藤さんは、以前8カ月の育児休業を取ったことのある同僚に「キャリアに悪影響になる心配はなかったのか」と尋ねたことがあった。すると、こんな答えが返ってきた。
「いや、会社からはむしろプラスに評価されていると思う。親の役目をしっかり果たそうという責任感のある人間として評価され、家庭と仕事のバランスをうまく取れる人間だとも見てもらえる。自分が複数の部下を持つ課長になった今、それを実感している」







