佐藤さん自身、現在2人目の育児休業中で、私が話を伺った時は4カ月が過ぎたところだった。
妻は通勤時間が長く、朝6時に家を出て夜18時に帰宅する。その間、小学校低学年の長男と、まだ保育園に通っていない0歳児の次男が安全に快適に生活できるように全力を尽くしている。
仕事は完全に休んでいるが、自分自身の希望で週に1度の定例チームミーティングには参加(上司は「しなくてもいいが、したいのなら構わない」という反応)、同僚にランチに誘われた時や、年に1度の上司との給与交渉ミーティングの際には次男をベビーカーに乗せて職場に連れていった。
子供たちとの生活を最優先しながらも、自身の勉強や趣味の時間も確保するようにしている。
育児を通して身についた
仕事にも役立つスキル
データサイエンティストとして、AIモデルの開発や活用に関わる佐藤さんの目標は、AIを活用したインフラの知識、そして全体的なソリューションを提案・実行するマシンラーニングエンジニアとしてのスキルを身につけることだ。
生活ペースも食べるものも違う子供2人の世話をしつつ、家族全員の食事や洗濯、掃除を一手に引き受ける佐藤さん。育児を通して優先順位づけやマルチタスク能力、メリハリをつける力といった仕事にも役立つスキルが身についたという。
仕事でも常にやるべきことは複数あるし、全部を同じ重要度で扱うことはできない。限られた時間とエネルギーの中で、何を先にやるか、何を後回しにするか、何を諦めるかを判断しなければいけない。育児はその判断を毎日、かなり実践的な形で鍛えてくれるという。
『スウェーデン人はなぜ朝の3時間で仕事が片づくのか』(久山葉子 PHPビジネス新書、PHP研究所)
それに子供はこちらの都合では動いてくれない。ごはんを食べるのにも時間がかかるし、着替えもすぐには終わらない。寝かせるのにも一苦労。大人のペースで考えるとイライラしてしまうが、子供には子供のペースがあることを意識するようにしている。
仕事でもプロジェクトが予定通り進まないことや、急な変更が入ることはよくある。自分が思い描いたペースでチームが動いてくれないこともあるだろう。その時に、状況を受け入れて、次にできることを考える力や、相手のペースに合わせて辛抱強く待つ力が育児によって鍛えられているという。
佐藤さんのような優秀なビジネスマンでも、育児から学ぶスキルは尽きないようだ。優先順位のつけ方、マルチタスク、チームメンバーに合わせた配慮など、まさにこれからの時代の新しいリーダーに求められる資質なのではないだろうか。







